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法律・狭山部会・学習会報告
2003年03月03日
国際人権条約と国内判決(9)

藤本 晃嗣 (大阪大学大学院生)

 本報告では、現在進行中である調査研究事業「国際人権条約と国内判例研究」報告書を作成するに当っての、枠組みの概要案が示された。

(1)判例の分類について
 まず、各論部に相当する判例をいかに分類するかについて提案された。概ね、国際法学において「個人」を取り扱う際の配列や、法律に基づき、次の12項目に分類する。すなわち、1.国籍、2.家族、3.拘禁者の人権、4.公正な裁判を受ける権利、5.社会保障、6.戦後補償、7.選挙権、8.出入国管理、9.外国人の権利義務、10.人種差別、11.労働者の権利、12.その他、である。これを章立てとし、さらに節・項として、一層の細目を設けることとしている。

(2)分析の枠組みについて
 次に、具体的な記述をどのような枠組みで進めていくかという点について、二つの指標を設けるよう提案があった。すなわち、1.原告の主張に基づく類型、2.裁判所による評価に基づく類型、である。具体的には、次のような枠組みである。

 1.原告の主張に基づく類型
 ここでは、とりわけ憲法との関連性において、すべての事件を次のように類型化する。 すなわち、1)憲法違反単独主張、2)憲法違反・国際法違反混合主張、3)国際法違反単独主張、4)不明、である。この分類において、国際法違反を主張する場合について、A.規定のみの援用、ないしB.監視機関の解釈を含めた援用、に分類し、各項目において、それぞれ事実の概要、推論の内容、分析・評価、という形式で執筆する、ということである。

 2.裁判所による評価に基づく類型
 しかしながら、各項目においてどのように配列するかは、上記の枠組みでは必ずしも明らかではない。そこで第二の指標が重要になる。具体的には、推論において原告の主張をどのように評価したかという点から、1)主張を考慮した上で、該法・処分違反認定、2)主張を無視した上で、合法、3)主張を考慮した上で、合法とし、さらにいくつかの細目に分類して、執筆を進めるということである。

(3)国際文書の扱いに関して
 以上のような国内判例の分析を受けて、国際的平面ではどのような動きになっているか、特に規約人権委員会における見解や、一般的意見の原文又は翻訳を併記する。このことにより、国際文書のさらに有意義な活用が可能となるであろう。
 この点について、参加者からは、一般的意見や見解について、該当部分についの抄訳のみならず、全訳、あるいは国際法からの分析評価を付した方が、より一層実践的には有用だという意見があった。この点に関しては、どの程度の作業が可能か、次回までに検討することとされた。