本年11月で、日本国憲法が公布されて60年という節目の年を迎えます。近年、日本国憲法の「改正」が各方面で論議されていますが、第2次世界大戦の深刻な反省を踏まえる中から、主権在民、戦争放棄、基本的人権の尊重を3大原理とした日本国憲法が公布されたという歴史的な経過を踏まえた議論が求められています。
この節目を迎えた今年、戦争に反対する世界的な世論を踏みにじってアメリカ等によるイラク戦争が開始され3年を迎えました。この間、イラクでは憲法が制定され総選挙が実施されましたが、死者は3万人を突破し、事態はいっこうに安定する兆しを見せていないどころか、内戦の危機まで危惧される状況となってきています。また、昨年8月アメリカの南部諸州を巨大なハリケーン・カトリーナが襲い、アフリカ系アメリカ人を中心に甚大な被害をもたらしました。これは、二酸化炭素を世界で最も多く排出し続けているアメリカに深刻な反省を求めることとなっていますし、未だにアフリカ系アメリカ人をはじめとするマイノリティに対する差別を克服し得ていないアメリカの実情を世界に示すこととなりました。
そして昨年9月に開催された国連首脳会議で、国連改革に取り組むことが決定されました。その重点課題の一つとして人権委員会を人権理事会へと充実させることとなりました。国連の中で、人権が重要視されるようになってきたこと自体は歓迎すべきことですが、今後人権小委員会や人権NGOの位置づけがどのようになるか注視していくことが必要です。
一方、日本においても、昨年から今年にかけて、耐震強度偽装事件、アメリカ産牛肉の危険部位混入事件等、人命よりも一部の業者の利益を優先した事件が多発してきています。また、規制緩和のもとでの市場主義経済万能論が台頭する中で、所得格差が拡大し、社会的な矛盾が激化してきています。この結果、連続脅迫差別ハガキ事件、インターネット上の差別宣伝・煽動の増大、行政書士等による戸籍謄本等不正入手事件、興信所による部落地名総鑑所持事件等に象徴される悪質な差別事件が増加してきています。
以上のような、人権を取り巻く内外の情勢を踏まえ、世界人権宣言大阪連絡会議として、世界人権宣言の普及宣伝と実現をめざし以下の課題に積極的に取り組んでいきます。
一、「人権教育のための世界プログラム」並びに「国連持続可能な開発のための教育の10年」2年目にちなんだ取り組みを行う。
一、国連人権関係諸条約の批准促進と具体化に向けた取り組みを行っていく。
一、「職業と世系に基づく差別」の撤廃に向けて取り組んでいく。
一、ユネスコ「反人種主義アジア・太平洋地域都市連合」設立に向けた取り組みと連帯する。
一、日本の人権法制度確立に向けた取り組みを行っていく。
一、日本国憲法「改正」、教育基本法「改正」、国民投票法案等について、世界人権宣言や国際人権規約などを踏まえた議論、学習を行っていく。
一、すべての自治体での人権関係条例の制定と具体化に向けて取り組んでいく。
一、スマトラ沖地震・津波の被害者を支援していく。
今年で結成23年目を迎える世界人権宣言大阪連絡会議に参画している私たちは、上記の課題に全力をあげて取り組んでいくことをここに決議します。