本年は、第2次世界大戦が終結して60年という節目の年です。この戦争の反省の中から「差別を撤廃し人権を守ることが恒久平和を実現することに通じる」を基本理念とする世界人権宣言が採択されました。そして日本においても、この戦争の反省の中から、戦争放棄、主権在民、基本的人権の尊重を基本原理とした日本国憲法が公布されました。現在、日本国憲法や教育基本法についての議論が活発に展開されていますが、日本をとりまく平和と人権状況を見たとき、改めて日本国憲法の基本理念に立ち返るとともに、この理念の具体化と発展が求められています。
戦後60年を経た世界をみても、イラク戦争をはじめ、世界各地で紛争は後を絶たず、平和が著しく脅かされているといわなくてはなりません。そして昨年12月26日、スマトラ沖で巨大地震が発生し、地震と津波によって甚大な被害が生じました。現在この被害を受けた関係諸国で、復興に向けた懸命の努力が展開されていますが、各方面からの息の長い支援活動が求められている状況です。
また日本においても経済不況が続き、失業者の増大、中高齢者を中心に自殺する人びとも増加しているなど、世界人権宣言の基本理念とは程遠い現実に私たちは直面しています。そうした中、差別や人権侵害を禁止するとともに、被害者を救済するための法整備の一環として「人権侵害救済法」(仮称)の早期制定がさし迫った課題となってきています。さらに改善されてきたものの今日もなお厳しい部落差別の実態をみたとき、改めて「同対審答申」の精神に立ち返り、国、自治体、国民の一人一人が主体的に部落差別撤廃にむけた取り組みを強化することが求められています。
人権文化を世界中に創造することをめざして取り組まれてきた「人権教育のための国連10年」が、昨年末で終了しました。この「10年」は、様々な成果を上げてきましたが、深刻な世界の人権状況を鑑みる中、昨年12月、国連総会は2005年1月から「人権教育のための世界プログラム」に取り組むことを決議し、第1段階の3ヵ年を初等・中等学校教育制度における人権教育の推進に重点を置くこととしています。また、今年1月から「国連持続可能な開発のための教育の10年」が始まりました。日本においてもこれらに連動した取り組みが求められています。
こうした、内外情勢をふまえ、世界人権宣言大阪連絡会議は、2005年度、以下の課題に積極的に取り組んでいきます。
一、「人権教育のための世界プログラム」、「国連持続可能な教育のための国連10年」スタートの年にちなんだ取り組みを行なう。
一、「人権侵害救済法」(仮称)の早期制定にむけて取り組んでいく。
一、「同対審答申」の基本精神を踏まえ、部落差別撤廃にむけて取り組んでいく。
一、国連の人権関係条約の批准促進、締結した条約の実施を求めていく。
一、国のレベルでの人権に関する法制度の整備に向けて取り組んでいく。
一、すべての自治体で人権関係条例を制定し、人権施策推進基本方針、基本計画等の策定を求めていく。
一、スマトラ沖地震・津波の被害者を支援していく。
今年で結成22周年目を迎える世界人権宣言大阪連絡会議に参画している私たちは、人権文化を構築するための一員としての自覚をもって、この1年間、地域、職場、学校、家庭、団体内で世界人権宣言の精神と「人権教育のための世界プログラム」の具体化のため、全力を挙げて取り組んでいくことを決議します。