〈田舎者〉差別【いなかものさべつ】

 〈田舎者〉とは,本来,田舎育ちの人,地方出身の人を指して使われる語であるが,都市文化を<洗練された文化>と錯覚して,〈田舎はものを知らない,洗練されない人が住むところ〉といった価値観が生じ,地方で育った人だけでなく,流行に敏感でない人,流行に流されて主体性のない人,価値観を共有できない人に対して,蔑んで〈田舎者〉として扱う場合をいう。自分をへりくだって〈田舎者〉という言葉を使う場合,劣等感を抱きながら都市文化へ同調しようとする悲劇性がみられることもある。工業化が進み,都市的な生活様式が地方にも普及し,都市は人口密集と騒音公害,大気汚染の街に変貌し,教育水準も平準化し,情報化社会の到来により,新幹線や航空路,道路網の整備のほか,衛星放送,CATV(ケーブルテレビ),電話,ファクス,パソコン通信や*インターネットなどが普及するにつれて,地方においても,世界の情報を享受,発信できるようになると,地方の良さが見直され,地方へのUターン現象,I【アイ】ターン現象も生じている。その結果,不快語としての〈田舎者〉という語は若者の世代ではしだいに使われなくなりつつあるが,被差別部落出身者,*外国人労働者や帰国子女などに〈田舎者〉という語のもつニュアンスに似た語が向けられることがある。中高年齢層の意識の深層には,まだ〈田舎者〉という語がマイナスの価値をもって残存している場合もある。

(横山勝英)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:28 (1354d)