ねたみ差別意識【ねたみさべついしき】

 被差別集団(*マイノリティ・グループ)は自分たちより下位であって当然だ,という*差別意識に基づいて,被差別集団が自分たちより生活条件が上にあるとみなすことで,反感をもつマジョリティ・グループ側の態度。ねたみ差別意識は古く,金銭的に成功した部落民を〈〇〇の分際で,けしからん〉と非難する事例は近世にも散見される。しかし近年,*同和対策事業により部落の改善が進行するに伴って顕在化し,今日の部落差別意識の主要な発現形態となっている。たとえば,〈部落にだけ,立派な住宅が建てられ,安い家賃で入居している〉〈部落の学校の施設は至れり尽くせりのものだ,われわれの学校はみすぼらしいのに〉といった声がそうである。これは,社会福祉政策・教育政策・住宅政策など社会政策の貧困により,同和事業と一般政策のアンバランスにより生じた側面があるとともに,部落差別の現実や同和事業の歴史的経過についての無知・無理解と,部落に対する差別意識とが結合した結果生まれた意識である。

 〈羨望差別【せんぼうさべつ】〉という言い方もあるが,羨望・うらやみはその性質上,差別意識とはならない。すなわち,〈ねたみ〉と〈うらやみ〉とは,次の点で区別される。両者はともに他者の充足した状態と自己の状態とを比較したときに生まれる感情であるが,〈うらやみ〉は,他者が充足した状態にあるのを自然に受けとめ,自己もそうなりたいという感情の動きがあるのに対して,〈ねたみ〉は,本来、他者はその充足した状態にふさわしくないという判断があり,〈私の方が,充足した状態にふさわしい〉とか,あるいは〈その者は,本来の劣った状態がふさわしい〉という感情の動きが含まれている。

*逆差別

(野口道彦)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:29 (1468d)