オソレ【おそれ】

 差別する側の個人(集団)が,差別される側の個人(集団)に対してもつ*偏見に根ざした感情。偏見,差別によるオソレの感情は,特定集団への異質性の認知から始まる。異質性の認知は,その特定集団を,自己の所属する(あるいは準拠する)集団とは異なった〈非日常的存在〉とみなす認識によって成立する。非日常的存在への認識は,一般に2つの方向に分かれる。〈聖別化〉と〈差別化〉である。その特定集団を〈見上げる〉か〈見下げる〉かによる二分化である。部落差別に関していえば,この二分化傾向は明確に現れる。*松本治一郎の〈貴族あれば賤族あり〉の表現に示された通りである。被差別部落と*天皇制の問題が,この点に対応する。異質性への認識のもつ,両極に分裂した両義性的性質が,顕著に表れている。オソレの感情は,聖別化された集団と差別化された集団の双方に向けられる。〈畏れ〉と〈恐れ〉である。畏れ(聖別化の方向)は〈浄【じょう】〉の観念,恐れは〈不浄【ふじょう】〉の観念に直結する。両者の観念は表裏一体である。特定集団を聖別化するか差別化するかは,自己の所属(準拠)する集団との社会的関係性で決まる。

(江嶋修作)

トップ   差分 リロード   一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:30 (1387d)