クオータ・システム【quota system】

 欧米の政府・地方自治体が,被差別集団に対し,差別撤廃のための積極的行動、すなわち、*アファーマティブ・アクションを実行するとき,大学や大企業に,一定数の被差別者集団の人間を優先的に採ること,つまり〈人数割り当て〉を強制する制度。この差別解消政策は,日本では〈民間企業は身体障害者または知的障害者を1.8%以上雇う義務をもつ。もし1.8%以内であれば,足りない分は1人につき,月5万円の納付金を徴収する〉という*障害者雇用促進法【しょうがいしゃこようそくしんほう】の規定がよく知られている。なお,この人数割り当て制度は,女性を除き,被差別少数者集団(マイノリティ,たとえばアメリカにおいては黒人,ヒスパニック,ネイティブ・アメリカン)が占める人口比率でもって行なわれるのが普通である。資本主義は自由競争の社会なので,機会の平等化【きかいのびょうどうか】がなされていないとき,生まれつき有利な条件にたっている集団にハンディキャップをつけるか,それとも,生まれつき不利な条件を背負っている特定集団には、相当の優遇措置をするか,この二つのうち一つによってしか〈結果としての平等【けっかとしてのびょうどう】〉は実現しない。クオータ・システムはいうまでもなく後者を政策として具体化したものの一つである。なお、このクオータ・システムが、あまりにも過激かつ性急に行なわれたので、1980年代、レーガン政権によって後退させられた面がある。

→*マキシ・ミン原理

参考文献

  • 横田耕一「アメリカにおける積極的差別解消策」(『部落解放史・ふくおか』27号,1982)
  • 小川登『アメリカにおける差別徹廃の人為的行動政策』(『部落解放』216号,1984)
(小川 登)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:31 (1300d)