ジェノサイド【genocide】

 第2次大戦中に,アメリカのR.レムキンがドイツ占領地でのユダヤ人迫害を取り上げて用いた造語。今日では,特定の国民・人種・民族・宗教者集団・エスニック集団などに対して行なわれる〈大量〉(geno:ギリシャ語のgenos=人種)〈殺害〉(cide:ギリシャ語の〈殺し〉)を意味する。国連の*ジェノサイド条約(1948.12)の定義も,ほぼ同様である。また,J.カート,F.チャルク,H.ファインらは,〈国家あるいはその他の権威が,ある集団――すなわち加害者によりその集団あるいはその成員と定義される集団――を絶滅することを意図する一方的な大量殺害の一形態〉と定義づけている。〈民族浄化【みんぞくじょうか】〉の思想の下の〈集団虐殺【しゅうだんぎゃくさつ】〉も含まれる。

 ジェノサイドの典型的な事例は,第2次大戦中にナチスがユダヤ人に対して犯した〈ホロコーストholocaust〉である。つまりホロコーストは,第2次大戦中に600万ともいわれるユダヤ人を組織的に殺害した第三帝国のユダヤ人絶滅政策を意味する。なお,holoは〈すべて〉を,caustは〈焼かれた〉を意味するギリシャ語に由来する英語である。また,近年ではヘブライ語で〈絶滅〉を意味する〈ショアーshoah〉が用いられることも多い。

 今日,ジェノサイドは,たとえば南京大虐殺,ベトナム戦争下におけるソンミ村での皆殺し,カンボジア、ボスニアでの皆殺し,さらには〈原爆ホロコースト〉にまで考え及ぶ必要があろう。

*ジェノサイド条約

参考文献

  • 藤永茂「ナチ・ホロコーストと原爆ホロコースト――魂の危機の思想化を求めて」(『世界』670号,1997)
(今野敏彦)

トップ   差分 リロード   一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:31 (1387d)