セグリゲーション【segregation】

 〈凝離【ぎょうり】〉〈隔離【かくり】〉〈離反【りはん】〉などと訳される。ある個人や集団が,社会的な目的のために,空間的境界によって分離させられること。セグリゲーションには自発的なもの(たとえば一宗教集団がその信仰の形態を保持し,文化的自律性を持続するために行なうもの)もあるが,非自発的なものに注目しなければならない。その多くは,支配集団(特権集団)が従属集団に対し,自分たちの優越性を保持し差異を強調し維持するために行なうもので,法や慣習によって制度化される。その隔離は居住地・学校・食堂・交通機関から雇用・娯楽にまで及び,こうしてセグリゲートされた集団は,〈別の世界〉に住む〈別の人間〉とされて,つねに劣性のレッテルを貼られ,外集団との社交や通婚を阻まれ偏見と差別が固定されてしまう。

 セグリゲーションは,古くはユダヤ人に対してなされ,ヨーロッパやアメリカでの〈*ゲットー〉を生み,ソビエトでは〈ペイル〉(柵の意,居住地の枠)を形づくった。また,現代アメリカには,黒人のセグリゲーションがみられ,それが〈ダーク・ゲットー〉(ハーレム,ニューヨーク市マンハッタン島北東部)として存在する。またアメリカでは黒人以外に,非白人が職業と人種によって住居がセグリゲートされ(おおよそ10カ所の都市地域にみられる。シカゴ市の〈黄金海岸〉と〈ブラック・ベルト〉はその典型。前者が高級住宅地,後者が黒人スラム地域),イギリスでも少数人種と少数民族の住居セグリゲーションは,かなり高い割合で分布している。さらに南アフリカのかつての〈*アパルトヘイト〉においては,生活の全領域において法的にセグリゲーションが強制されて,黒人の基本的人権はまったく保障されていなかった。

 わが国においては古代の〈*五色の賤〉や,江戸時代の〈えた〉〈ひにん〉という賤民身分に追いやられた人々が,明らかにセグリゲーションされていた。また,現在でも部落出身者・部落居住者の地域や〈朝鮮人街〉と呼ばれる地域、〈*ドヤ街〉(*山谷,*釜ケ崎,*笹島*寿町など)は事実上のセグリゲーションの例である。

参考文献

  • L.ワース『ユダヤ人問題の原型・ゲットー』(今野敏彦訳、明石書店、1994)
(今野敏彦)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:31 (1354d)