ヒエラルヒー【Hierarchie】(独)【hierarchy】(英)

 上位から下位へと等級的につながっているピラミッド型の秩序ないし組織体系のこと。階統制,位階制,階層制などと訳されるほか,ヒエラルキー,ハイアラーキーといった原語のまま用いられることも多い。語源的にはギリシア語のhierarchia(聖なる位階制)に由来し,元来,天使や聖職者の序列として用いられてきたが,社会科学的な用法においては宗教的意味づけは薄れ,等級的秩序や組織体系を記述するための整序概念として用いられる。なお等級的秩序の根拠として支配――服従関係を想定する場合としない場合がある。等級的秩序を記述する場合には必ずしも支配――服従関係は想定されていない。たとえば所得のヒエラルヒーといった使い方においては,観察者がなんらかの量的基準によって区分した対象(所得)を連続的に序列づけているだけである。しかしながら,組織体系を記述する整序概念として用いる際には,支配――服従関係が不可分なものとして想定されていることが多い。この場合,支配の正統性に応じて,ヒエラルヒー的組織を特徴づけることができる。たとえば中世における身分制的ヒエラルヒーにおいては,伝統的かつ生活全般における人格的支配――服従関係が想定されている。それに対して,依法的支配の典型的形態である近代の官僚制【かんりょうせい】は職務と権限の定められた等級的秩序を特徴としており,非人格的な職務上の機能的関係としてのヒエラルヒーである。ただし,企業や国家官僚機構にみられるように,現実にはこのようなヒエラルヒーが職務を越えた特権を派生させ,人格的な支配――服従関係を内包していくことも指摘されている。

参考文献

  • M.ヴェーバー『支配の社会学』機Ν(世良晃志郎訳,創文社,1960・62)
(稲月 正)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:33 (1295d)