ファナティシズム【fanaticism】

 熱狂的・陶酔的な心理状態のこと。歴史上,あらゆる個人および集団に現われる社会心理であるが,とくに国家独占資本主義段階における*ファシズムの,重要な大衆操作のための観念形態である。すなわち,擬似科学的理論を土台とする史実歪曲の歴史教育・事実無根の宣伝や扇動によって,国民個人の主体的価値判断は否定され,宗教的神秘主義的感情の巧みな移入によって,国家とその統率者に対する絶対的崇拝およびその〈神聖なる〉目的達成のための献身的行為が強要される。その例としてドイツ国家社会主義労働者党=ナチスのゲルマン民族至上主義(非科学的人種生物学の応用)による第三帝国建設の野望,日本天皇制国家主義の天皇神話に基づいた大東亜共栄圏建設のスローガンなどがある。これらは政治・経済的には帝国主義であったが,思想上は国民の大半を支配民族=〈選民【せんみん】〉ととらえ,その対極に〈劣等民族【れっとうみんぞく】〉を位置づける偏執(モノマニア)的差別主義であった。支配民族の〈単一性神話〉〈純血〉を強調し,〈劣等民族〉との混血を禁じた。そして〈劣等民族〉の公民権を次々と剥奪し,その民族に対する国民の敵意,狭量性を利用して,最終的には差別された民族を精神的(民族固有の言語・宗教・文化等の強奪)・肉体的絶滅にまで追い込んだ。

*ネオ・ナチズム

(金子マーティン)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:33 (1388d)