ボランティア【volunteer】

 <志す>を意味するラテン語(vol)と<人>を表す接尾辞(er)が組み合わされた言葉で,<自発的に社会問題の解決に取り組む人>全般を指す広い概念の言葉である。その活動には,問題の社会性を認識せず自己満足的に取り組まれる慈善活動も含まれるが,それとともに社会制度や因習に鋭く切り込む活動も含まれる。ここでいう<自発性>とは具体的には<放っておけない><黙っておれない>といった意志,思いであり,とくに部落解放運動では部落住民の人権蹂躙状態に対する怒りが起点となり推進力となってきた。つまり部落解放運動とは基本的人権の擁護を求めるボランティア活動の代表例といえる。ただし,ボランティアは個々の人権を擁護できても,ボランティアだけで人権を制度的に保障することはむずかしい。個々人の自由意志に基づくボランティア活動は<どこまでするか>の基準もまた個々人の自由意志に任される。ここで問題の深刻さに気づき責任感の強い人ほど無理して解決に当たろうとするが,自発的な取り組みである以上,その労苦はボランティア自身が背負うしかない。自発的にがんばる者ほど疲れるこの現象は<自発性パラドックス>ともいわれ,ボランティアの限界を示すものである。人権問題はボランティアだけで解決するのではなく,法制度の整備を進める活動が必要なのである。

参考文献

  • 早瀬昇・牧口明『知っていますか? ボランティアと人権 一問一答』(解放出版社,1997)
  • 巡静一・早瀬昇編著『基礎から学ぶボランティア活動の理論と実際』(中央法規出版,1997)
(早瀬 昇)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:33 (1388d)