マキシ・ミン公正原理【マキシミンこうせいげんり】 max-min principle

 アメリカのロールズ(ハーバード大学の哲学教授)が唱え,反差別運動を理論的に支えている社会的公正の原理【しゃかいてきこうせいのげんり】。この理論の核心は〈制度的に差別が存在する社会によって,もっとも不利な条件におかれている集団(階層)の活動条件を最大化するならば公正である〉と主張する点にある。つまり,最低条件(ミニマム)におかれている集団の人たちの経済的社会的活動条件を最大化(マキシマム)することによってのみ社会的公正は実現できるとする。この原理の奥底には〈この社会においてもっとも虐げられている集団の状態をもっとも良くするような行動が,人間にとってもっとも望ましい行動である〉という共苦的価値観がある。これまで,公正理論には貢献度(能力)原則と必要度(ニーズ)原則という2つがあったが,ロールズは,それだけでは欠陥があるとし,〈受けるに値しない不平等は補償を要求しうる〉と主張し,〈過去の差別への償い〉として相当の優遇・保護・特別措置すなわち、*アファーマティブ・アクション、もっともわかりやすい政策としては*クオータ・システムがとられなければ,〈結果としての平等〉,つまり厳密な社会的公正は実現しないと考えたのである。〈機会の平等から結果の平等へ〉を哲学化したのがマキシ・ミン公正原理である。

参考文献

  • J.ロールズ『正義論』(矢島鈞次監訳,紀伊国屋書店,1979)
  • 青木昌彦編著『ラディカル・エコノミックス』(中央公論社,1973)
  • 小川登『労働組合の思想』(日本評論社,1981)
(小川 登)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:34 (1294d)