移住労働者権利条約【いじゅうろうどうしゃけんりじょうやく】 International Convention on the Protection of the Rights of All Migrant Workers and Members of Their Families

 1990年国連第45回総会でコンセンサス方式によって採択。正式名称は〈すべての移住労働者およびその家族の権利に関する国際条約〉。前文と93条から成る。日本は未批准。すべての移住労働者とその家族の人権の確保を目的とする条約で、就業国で非正規(非合法)な地位にある移住労働者とその家族の人権も保護の対象となっている。正規な法的地位にある移住労働者とその家族については、追加的な権利として第4部(36〜56条)で規定している。条約は、*国際人権規約やILO条約など既存の国際条約で規定された権利を包括的に扱ったものであるが、労働を目的とする人の国際移動が今後もますます活発になる現代において、基本的な人権はあらゆる者に保障されるという*国際人権の考え方を柱に、すべての移住労働者を対象に国連が包括的な人権条約を採択した意義は大きい。たとえば、非正規な移住労働者に対しても、退去強制される場合の手続上の権利(22条)や緊急医療を受ける権利(28条)、子どもの教育を受ける権利(30条)などが明文で規定されている。条約はコンセンサス方式で採択されているものの、日本、ドイツ、アメリカなど移住労働者の受け入れ国である先進諸国は、条約採択の国連総会で、条約の内容に反対の意見を表明している。条約の発効には30カ国の批准または加入が必要であるが、締約国数がきわめて少なく、いまだ未発効の状態である。条約上の権利を実質的に確保するには、移住労働者の受け入れ国が条約の締約国となることが必要不可欠であり、先進国の条約参加は大きな課題である。

*移民労働者の人権

参考文献

  • 小畑郁「国連における外国人労働者の人権問題――移住労働者権利条約の成立を中心に」(『国際人権』4号、信山社、1993)
(米田眞澄)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:35 (1358d)