育児・介護休業法【いくじかいごきゅうぎょうほう】

 1991年(平成3)5月15日制定(法律76号) 正式の法律名は〈育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〉。労働者が育児や介護を容易にするための勤務時間や休職措置を定めて,労働者雇用の継続と促進,労働権の保障をはかり,経済・社会の発展に資するための法律であり,保育所とともに労働者側から要求されてきたものである。1972年(昭和47)の勤労婦人福祉法では,育児休業は事業主の努力義務としていたが,92年(平成4)4月1日に施行された育児休業法【いくじきゅうぎょうほう】(旧法)で全事業所での義務となった。同法は,介護休業制度も含めて本法律へと改正された(1995.10.1施行)。ただし,介護に関する主要部分については99年4月1日から施行された(介護休業制度実施事業所の割合は1985年8.7%,1993年16.3%)。

 同法における育児休業【いくじきゅうぎょう】とは,労働者が〈その1歳に満たない子を養育するため〉に雇用関係を維持したまま一定期間(1年以内)休業することである。介護休業【かいごきゅうぎょう】とは,労働者が〈その要介護状態にある対象家族を介護するため〉に雇用関係を維持したまま一定期間〈3カ月以内〉休業することである。要介護状態とは,〈負傷,疾病又は身体上若しくは精神上の障害〉により,2週間以上継続して〈常時介護を必要とする状態〉のことをいう。95年4月1日から,雇用保険の被保険者が育児休業を取得したとき〈育児休業給付〉(支給額は,休業開始前の賃金月額の2割と職場復帰後に給付される同5%分の合計25%)が支給されるようになった。介護休業についても,休業開始前の賃金月額の25%が支給されるようになった。

 法の内容は,]働者は育児・介護休業を申し出ることができ,雇用主はそれを拒否できない,育児・介護休業を理由とした解雇は禁止,5拔帆阿法さ拔斑罎篆場復帰後の賃金・配置・昇進等を労働者に示す努力義務,ぐ藥休業しない者のために〈短時間勤務制度,フレックスタイム制度,時差出勤制度,所定外労働をさせない制度,企業内託児施設の設置等〉のうちいずれか一つ以上の措置を講ずる,ィ浦个ら小学校就学始期までの子を養育する労働者についても必要な措置を講ずる努力義務,等からなる。また介護休業についても〈短時間勤務制度,フレックスタイム制度,時差出勤制度,介護サービスの費用の助成等〉のうちいずれか一つ以上の措置を講ずることなどが定められている。育児休業をとれない者は,日々雇用される者や有期雇用者,労使協定で〈雇用1年以内の者,配偶者が常態的に育児できる者,労働日数が週2日以下の者〉と決めた者などがある(介護休業も類似)。

 問題点としては,‘泳,郎把秧綵爐鮗┐靴討い襪砲垢ないのに,雇用主側に〈これだけでよい〉との認識が広がっている,⊇蠧席歉磴不十分で,所得が少なくなっても問題がない者しか制度を活用できない(実際,育児休業制度を利用しているのは99%以上が女性),0稟燭靴心覿箸悗糧蛎У定がない,じ戎ι帰の保障がない,ザ定によって〈常態として養育可能な配偶者〉がいると育児休業がとれないことは,とくに男性が育休をとる権利を侵害している,Αパート・タイマーやアルバイトや派遣労働者であっても,期間の定めのない者には休業の権利はあるとされているが,実態としてそうした非正規雇用者で休業している者は非常に少ない,Г泙身鸚亀雇用者【ひせいきこようしゃ】には有期雇用でありながら契約を更新して1年以上働いている者が多いが,彼らに育児・介護休業の権利が保障されていない,少なくとも権利があることが周知徹底されておらず行政の指導も不十分である(とくに公務員パートの場合),祖父母や兄弟姉妹,孫に対する介護について,休業するためには〈同居かつ扶養〉の要件があり,同居家族にのみ負担を強いる,などがある。男性が育休をとらないのは,無給という理由だけでなく,キャリアにマイナスであること,職場にとれる雰囲気がないこと,〈育児は女性の役割〉と思っていることにも原因がある。部落の女性労働者は,零細事業所に働く割合が高いこと,家計補助に果たす役割が大である場合が多いから,現行制度では利用が難しい。全体として,現行の育児・介護休業法は,日本が批准した*ILO156号家族的責任条約に示されている国際的水準からみて、不十分な欠陥法である。

(伊田広行)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:35 (1468d)