逸脱行動【いつだつこうどう】

 犯罪・*非行【ひこう】・*自殺・*売買春など,社会的に望ましくないと思われている行動ないし態度を総称して,社会学では〈逸脱行動〉という用語を使う。正常に対する〈異常〉や健全に対する〈病理〉に比べて,同調に対する〈逸脱〉という用語の方が,まだしも一般世人の偏見や差別意識から自由になれると考えられたからである。だが,それでもなお支配する側ないし強者の論理を隠しもっているとの批判が多く,近年の社会学では,〈*いじめ〉や〈*セクシュアルハラスメント〉など,多く差別意識に帰因する行動や態度をも〈逸脱行動〉に含めて議論すべしとの声が高まっている。とくに*ラベリング論と呼ばれる新しい分析視角においては,〈逸脱行動〉に走る当の人々より以上に,一般にそれらを統制する側にいると思われている警察官,教師,医者など専門エージェントの方が,その専門職業のゆえに知らず識らず身につけざるを得ない差別性や対人認知枠組などを俎上にのせるようになっている。そもそも法策定過程に携わる人々から,現場の取り締まり活動をする人々に至るまで,統制側がつねに公平無私である保障はどこにもないからである。

*逸脱と同調

参考文献

  • 宝月誠・大村英昭『逸脱の社会学』(新曜社,1979)
  • 大村英昭『新版 非行の社会学』(世界思想社,1989)
  • 宝月誠『逸脱論の研究』(恒星社厚生閣,1990)
(大村英昭)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:35 (1468d)