学習権【がくしゅうけん】

 人間の成長発達は,適切な学習と教育によって初めて可能になる。学習権は,人間が真の主体的人格になるための自由な学習の権利であり,人間の発達と生存にとって基本的な権利である。それは<教育を受ける権利>の根源にあって,その実現の基礎的条件となるものである。

 第1に,学習権は単なる基本的人権一般のカタログの一つではない。それは,とりわけ発達の可能態としての子どもが事物の学習によって身体的精神的に人間的発達をとげる権利として,子ども固有の権利とみなされる。

 第2に,子どもは未来の大人として社会的発展に寄与する。もし学習権の保障がなく,無知のまま大人になったら,参政権や労働権のような重要な諸権利を有効に行使できない。この意味で,学習権は<諸権利の権利>として人権の中核に位置している。

 第3に,学習権の保障は,人類の歴史的発展にとっても不可欠である。専制と隷属の大きな原因は,教育と知識の階級的独占にあった。*世界人権宣言の掲げる自由平等の普遍的原理の実現も,たえず新しい真理を学習し,自由解放の原動力を発達させる以外にありえない。ユネスコの〈学習権宣言【がくしゅうけんせんげん】〉(1985)も,この理念に立脚して,学習権の保障がなければ,個人の自由も人類の平和的生存もありえないと宣言している。水平社宣言も,このような理念を先駆的に喝破したものである。

 第4に,*部落解放教育は,部落史の学習により差別の歴史を知り,部落差別の現実に学ぶ*部落問題学習の組織化に取り組んできた。それは差別を見ぬき,差別に負けずに解放をかちとる高い学力,豊かな感性,強い意志を身につけ,平等社会達成の目的意識の確立をめざしている。<*解放の学力>は,このような基本原理に立っており,その獲得は自立の共同組織化としての解放教育の目標なのである。

*教育権、*発達権

参考文献

  • 日本教育法学会編『講座教育法2 教育権と学習権』(總合労働研究所,1981)
  • 解放教育研究所編『学力保障と部落問題学習』(明治図書,1985)
(柳 久雄)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:36 (1294d)