基本的人権【きほんてきじんけん】 fundamental human rights

 すべての人間が生まれながらに享有する永久不可侵の権利をいい,単に人権【じんけん】ともいう。すべての人間に普遍的に保障され,人間たるものに固有の不可侵の権利にほかならない。人権保障の制度は18世紀の自由権の保障から20世紀の*社会権の保障へと発展し,さらに21世紀には国際的保障へと裾野の拡大が予想される。こうした歩みの基底には,国民の権利から人間の権利の保障へ,個人権から民族・集団(共同体)の権利へ,大人(成人)の人権から子どもの人権へ,法律の保障から憲法的保障への流れの変化が読み取れる。さらに,第2次大戦後の国際的人権保障の発展は目覚ましい。*世界人権宣言ならびに*国際人権規約は世界人民にとっての共通の規範として定立されている。

 天皇から国民へ主権の所在を変更した*日本国憲法【にほんこくけんぽう】は,人間の尊厳性(13条)を根拠に,普遍的な永久不可侵の権利(11条)を宣言して憲法的保障を強化し,内容面や救済面でも充実をはかっているところに特色がある。しかし,憲法政治の現実では人権政策自体の貧困やそれに起因する部落差別【ぶらくさべつ】,*民族差別【みんぞくさべつ】などさまざまなかたちの人権侵害事象が発生しており,憲法の人権規範の形骸・空洞化が進んでいる。

 なかでも,結婚,居住,職業選択の自由といった近代市民社会で確立し,現憲法でも保障されている古典的な自由・権利(*市民的権利)が今日なお部落住民・部落出身者に十分保障されず,侵害されているところに人権問題としての部落問題の重大性がある。それゆえ,部落解放の人権論は個人の尊厳【こじんのそんげん】を根拠にすべての国民に保障された基本的人権享有能力を現実化し,法の下の平等【ほうのもとのびょうどう】を徹底することにある。それは日本社会の民主化達成の課題とも固く結びついている。それだけに,憲法の人権理念を具体化する骨太な人権政策の展開に期待するとともに,人権の国際化時代のもとで進んだ人権諸条約の積極的受容と国内実施に向けていっそうの努力が求められる。

参考文献

  • 下山瑛二『人権の歴史と展望 増補版』(法律文化社,1976)
  • 睫鈞胆 愼本国憲法と部落問題』(解放出版社,1984)
  • 部落解放研究所編『憲法と部落問題』(同前,1986)
(睫鈞胆 

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:37 (1300d)