勲章【くんしょう】

 国家に対する功労を表彰して授ける記章。栄典制度の一つ。日本の勲章制度は,ヨーロッパの制度を取り入れ1875年(明治8)につくられた。それは国家=天皇に功労のあった者に対して,その功労の大きさにしたがって勲1等から勲8等までのランクをつけるもので,のちに勲1等の上位に大勲位菊花章頚飾と大勲位菊花大綬章が設けられた。この勲章制度には<官尊民卑>が色濃くみられ,律令時代以来の伝統的な位階制度や、1924年(大正13)に全国水平社が徳川家達に辞爵勧告して強く批判した*華族制度などと並んで,国家が人間に序列をつける差別的な制度といえる。日本の敗戦に伴い,46年(昭和21)閣議決定により叙位叙勲は文化勲章【ぶんかくんしょう】(1937制定)を除いて停止されるが,63年,池田内閣は立法手続きもせず,閣議で解除決定を行ない,翌64年4月から生存者叙勲を実施した。現在の勲章制度は,民間人(主として財界)への叙勲対象の拡大という点を除けば戦前と同じで,その差別的な性格は変わっていない。たとえば,総理大臣は勲1等,国務大臣は勲2等,政務次官は勲3等,政令指定都市の市長は勲4等,人口25万人以上の都市の市長は勲5等などという基準があり,大学の学長経験者でも国立は私学よりも上,同じ国立でも旧帝大が上であり,旧帝大学長は勲1等であるのに対し,小学校の校長は勲5等というように,その差別的な序列は徹底している。また,女性の受章者は非常に少なく,勲1等を受章した女性は,天皇家関係者を除けば,64年の復活以降わずか8人にすぎない(1999年11月現在)。

参考文献

  • 水沢溪『勲章制度が日本をダメにする』(三一新書、1996)
(石元清英)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:38 (1295d)