雇用保険【こようほけん】

 雇用保険法(1974.12.28)に基づいて実施されている政府管掌の*社会保険。それまでの失業保険【しつぎょうほけん】(法)を改善・発展させたものである。]働者が失業した場合に,必要な給付を行なうことによって生活と雇用の安定をはかり,再就職を促進する,∀働者の職業の安定に資するため,失業の予防,雇用状態の是正,雇用機会の増大,労働者の能力の開発・向上その他労働者の福祉の増進をはかることを目的とする。事業内容は,上記の目的に沿って<失業等給付>と<3事業>の2体系に大別される。労働者を雇用する事業所は,業種および規模に関係なくすべて雇用保険が適用される。ただし労働者5人未満の農林水産業の事業所は暫定的に任意適用とされている。適用事業所に雇用される労働者はすべて被保険者となるが,65歳以後新たに雇用される者で,短期雇用特例被保険者または日雇労働被保険者に該当しない者,短時間労働者であって季節的に雇用されている者は適用が除外される。

 <失業等給付>には,求職者給付,就職促進給付,雇用継続給付の3種類がある。1点目の求職者給付には,基本手当・技能習得手当・寄宿手当・傷病手当がある。このなかで主なものは基本手当であり,離職の日以前1年間(傷病等の期間がある場合は,最長4年)に賃金の支払いの基礎となった日数が14日以上の月が6カ月以上ある者に,離職前6カ月の平均賃金の50〜80%が支給される。所定給付日数は,離職日における年齢と被保険者であった期間に応じて90日,180日,210日,240日,300日の5段階に区分されている。2点目の就職促進給付には,再就職手当・常用就職支度金・移転費・広域求職活動費がある。これらのうち再就職手当は,受給資格者が所定給付日数の3分の1以上かつ所定給付日数を45日以上残して安定した職業に就いた場合に,基本手当の30〜120日相当額が支給される。3点目の雇用継続給付には,高年齢雇用継続給付と育児休業給付がある。

 雇用保険は一定の基準に照らして就職が困難な事情にある被保険者について,給付内容をより厚くする措置を取っている。同和地区住民で就職が困難であると認められる者は,基本手当給付日数の延長や,安定した職業に就いた場合一時金として基本手当30日分の常用就職支度金【じょうようしゅうしょくしたくきん】の支給など,この制度の適用を受けることができる。

 〈3事業〉としては雇用安定事業・能力開発事業・雇用福祉事業がある。雇用安定事業には雇用調整助成金など14事業,能力開発事業には労働移動能力開発助成金など11事業,雇用福祉事業には小規模事業被保険者福祉助成金など6事業がある。多くは事業主に対して助成金・奨励金などを給付するものであるが,団体助成や講習受講者に対する受講給付金を支給する事業もある。

 これらの事業のうち,能力開発事業の*職業安定促進講習は,同和関係住民で不安定な職業に就いている者を対象に設けられた事業である。また雇用安定事業のうち,特定求職者雇用開発助成金【とくていきゅうしょくしゃこようかいはつじょせいきん】は,被保険者に直接給付を行なう事業ではないが,就職困難な者を常用労働者として雇い入れた事業所に対しその賃金の一部を助成する事業であり,同和地区住民や障害者などの常用雇用の促進にかかわりの深い事業である。

 なお、失業率の上昇で悪化した雇用保険財政の立て直しを図るため、2000年(平成12)4月、改正雇用保険法が成立、保険料率が0.8%から1.2%に引き上げられた。また、年齢と被保険者であった期間に応じて、改正前は90〜300日だった失業給付日数が、倒産や解雇などで離職を余儀なくされた場合は最長330日に延長された一方で、定年や自己の都合による離職の場合は最長180日の短縮となった。

(吉田卓司)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:39 (1387d)