再審【さいしん】

 刑事訴訟法上は,主として確定判決の事実誤認を理由として行なわれる非常救済手続きの一つ。民事訴訟法上も,確定判決によって終了した事件について,当事者から一定の瑕疵【かし】を理由として,判決を取り消しかつ訴訟を判決前の原状に戻し,弁論を開いて裁判すべきことを求めることが認められている。その申し立てと手続きを再審という。行政事件訴訟には,第三者再審の訴えという制度も認められている。

 裁判は人が行なうものであるから,事実の誤認や手続き上の誤りが生ずることはある程度やむをえない。しかし,確定判決がむやみに変更されることは,法的安定性の観点からもけっして好ましいことではない。そのため再審事由はそれぞれ厳格に法定されている。なかでも刑事再審については,冤罪者の救済をめぐってさまざまの深刻な問題が指摘されている。

 刑事訴訟法上,再審の請求ができるのは,<(無罪を言い渡すべき)明らかな証拠をあらたに発見したとき>(刑事訴訟法435条6号)とされ,証拠の明白性【しょうこのめいはくせい】と新規性【しんきせい】が要求されている。とくに前者については,従来,<無罪を認定する高度の蓋然性のある証拠>ときわめて厳格に解釈されてきた。そのため,<昭和巌窟王 吉田石松の事件>などごく少数の例を除き,ほとんどの再審請求が退けられてきた。1975年(昭和50)最高裁は<白鳥事件【しらとりじけん】>再審の特別抗告審において,再審で提出された証拠とそれ以前の証拠とを総合的に評価して判断すべきことを認め,<疑わしきは被告人の利益に>という刑事裁判の鉄則が再審請求にも適用されるとの判断を示した。その結果,<弘前大教授夫人殺し事件><徳島ラジオ商殺し事件>をはじめ,免田,財田川,松山事件など,死刑判決の確定した事件についても再審が開始され,すべて再審公判で無罪となった。

 白鳥決定が再審に一つの転機をもたらしたことは事実である。しかし,再審の流れが大きく変わったとまでは評価することはできない。<*狭山事件>をはじめ,今もなお多くの再審請求が棄却されている。

*冤罪

参考文献

  • 日本弁護士連合会編『再審』(日本評論社,1977)
  • 森井 〓*1「エン罪と再審」(『部落解放』144号,1980)
  • 鴨良弼編『刑事再審の研究』(成文堂,1980)
  • 川崎英明「再審で問われるもの」(『法学セミナー』496号、1996)
(森井 〓*2

*1 日ヘンに章
*2 日ヘンに章

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:42 (1413d)