子どもの権利条約【こどものけんりじょうやく】 onvention on the Rights of the Child

 子どもの権利の国際的,法的保障および総合的保障をめざして,1989年11月20日,国連第44回総会において採択された条約。正確には,〈子どもの権利に関する条約〉(以下条約)と称される。政府訳は〈児童の権利に関する条約〉であるが,広報上は政府,自治体サイドを含めて,両者が併用されている。

 この条約は,*世界人権宣言(1948)以来の包括的な人権体系で示した国際文書であるとともに,1980年代の子どもの人権保障に関する国際社会の英知を結集した国際法規範である。条約は,前文(13段),第1部(41カ条),第2部(4カ条),第3部(9カ条),合計54カ条から構成されている。前文では,人権および子どもの権利の国際的保障の歩みや,子どもにとっての家族的環境の必要性,とくに困難な状況下にある子ども,発展途上国の子どもの保護の必要性など,条約の制定理由や趣旨が述べられている。第1部では,子どもを〈18歳未満のすべての者〉(1条)と定義したうえで,差別の禁止(2条),子どもの最善の利益の考慮(3条),締約国が立法・行政その他の措置を講ずる義務(4条),子どもが権利を行使するにあたって親などが適当な指示・指導を与える責任,権利および義務の尊重(5条),生命への権利,生存・発達の確保(6条),名前・国籍の取得権(7条)など,総則的規定を置いた後,生存・発達・保護・参加の理念および〈特に困難な状況下の子どもの権利〉に類型化されうる子どもの具体的権利を網羅的に定めている。

 条約では,政府による権利保障の仕方について大きく二つの限定を課した。第1には,〈権利行使主体としての子ども〉観や子どもの意見表明権【こどものいけんひょうめいけん】(12条)の原則が明記され,〈子どもの最善の利益〉を判断する際,とくに〈司法および行政的手続〉においても,子どもの意思が尊重されるよう求めたこと。第2には子どもの権利行使の際に,親・保護者の指導権(5条)が明記され,締約国に対して,親・保護者の第1次的養育責任(18条)の尊重・考慮を求めたことである。なおこの条約は,94年4月22日,日本でも批准され(158番目),同年5月22日国内発効した。しかし批准に際しては,一つの留保と二つの解釈宣言が付けられ,かつ,いっさいの法改正,予算措置を講じなかったことに対し各界から批判の声も上がった。条約上の義務の履行については,44条で子どもの権利委員会【こどものけんりいいんかい】に対する締結国の報告義務が課せられており,日本政府も96年5月に第1回報告書を提出、98年5月の審査をへて、同年6月に22項目にわたる勧告を受けた。 資料編A-19

参考文献

  • 鈴木祥蔵・山本健治編著『「子どもの権利条約」を読む』(柘植書房,1993)
  • 喜多明人『新世紀の子どもと学校――子どもの権利条約を生かす』(エイデル研究所,1995)
  • 子どもの権利条約フォーラム実行委員会編『検証子どもの権利条約』(日本評論社,1997)
  • 永井憲一監修・子どもの人権連編『自治体でとりくむ子どもの権利条約』(明石書店,1997)
  • 子どもの人権連・反差別国際運動日本委員会編『子どもの権利条約日本の課題95』(労働教育センター,1998)
  • 同『子どもの権利条約のこれから』(エイデル研究所,1999)
  • 子どもの権利条約ネットワーク編『学習子どもの権利条約』(日本評論社、1999)
(喜多明人)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:43 (1411d)