子ども虐待【こどもぎゃくたい】

 child abuseの訳語。虐待という日本語がきわめて残虐な行為を連想させるために日本では〈子ども虐待〉は希有な異常ケースと考えられがちである。しかしabuseという英語には乱用,誤用という意味があり,大人の子どもに対する特権の乱用行為が子ども虐待の本来の意味である。子どもは皆,安心して,健康に,個性を尊重されて生きる基本的な権利を持つ主体であるにもかかわらず,しばしばその権利は大人によって侵害されてきた。子ども虐待とは子どもが心身ともに健康に生きるために奪われてはならない基本的人権の侵害行為である。

 日本では児童福祉法に加えて児童虐待防止法【じどうぎゃくたいぼうしほう】(2000年5月制定)によって虐待の防止、通告、介入などに関する施策が定められている。児童虐待防止法では子どもへの虐待を、保護者がその監護する児童(18歳未満)に対し、/搬療暴行、∪的行為、M椣蕕諒棄、監護の放置、た翰的外傷行為を行なうことと定義し、それを禁止している。欧米の法律では必ずしも日本のように児童虐待を保護者からの暴力行為にのみ限定して定義はしていない。

 一般に身体的虐待とは^嫂淌,または非偶発的,反復,継続的,しつけや指導の範囲を超えた体罰である。養育の放棄は,遺棄,または最低限の衣食住の世話をしないことによる心身への損傷行為を指す。性的虐待の定義は,\交や性器への接触など,子どもを相手にした性的な行為と,∋劼匹發貿簀秉佞鬚気擦燭螢櫂襯亮命燭鮖ったりする性的搾取とに大別することができよう。上記の三つの虐待には必ず心理的虐待が併存するわけであるが,心理的虐待だけの単独行為として定義するのは困難で,一般には上記の三つの虐待を伴わない,その他の極端な心理的外傷を与える行為であると,除去定義されることが多い。

 子ども虐待への対応は防止,介入,治療,調査研究の4分野に大別することができる。防止は虐待が起こる前にそれを防ぐための子どもと大人を対象とした啓発,教育活動。介入は虐待が発覚した際に被虐待児を救出し,その家族に援助を提供すること。治療とは被虐待児およびその家族,虐待者への身体的ケア,心理的セラピーやカウンセリングを提供する分野。調査研究は虐待の現状,要因,心理などについての統計調査やリサーチを行なう分野のことである。この4分野が効果的な連携を取り合い、それぞれの分野で行政・民間・市民団体が協力しあう体制作りが日本では緊急に求められている。

参考文献

  • 森田ゆり『子どもの虐待』(岩波書店、1995)
  • 同『子どもと暴力』(同前、1999)
  • 斎藤学編『児童虐待』(金剛出版、1998)
(森田ゆり)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:44 (1294d)