死刑廃止条約【しけいはいしじょうやく】

 1989年国連第44回総会において採択され、91年に発効。日本は未批准。正式名称は〈死刑の廃止を目指す、市民的及び政治的権利に関する国際規約の第2選択議定書〉。前文と11条から成る。条約は、締約国の管轄内にある何人も死刑を執行されず(1条1項)、締約国は、自国の管轄下において死刑を廃止するためのすべての必要な措置をとる(1条2項)とし、死刑の廃止を義務づけている。また、留保についても、戦時中になされる軍事的性質の非常に重大な犯罪に対する訴追に従って戦争の際に死刑を適用することを定めたものを除くほか、留保は許されないとした(2条)。

 自由権規約6条は、〈生命に対する権利〉を規定しているが、死刑を禁止するまでには至っていない。しかし、6条2項で、死刑を廃止していない国において死刑を科すことのできる犯罪を、〈この規約の規定及び集団殺害犯罪の防止及び処罰に関する条約の規定に抵触しない法律により、最も重大な犯罪〉のみに限定している。また6条5項で18歳未満の者が行なった犯罪について死刑を科すこと、および妊娠中の女子に対して死刑を執行することを禁止している。

 自由権規約4条は、国民の生存を脅かす公の緊急事態の場合で、かつその緊急事態の存在が公式に宣言されているときに、締約国が事態の緊急性が真に必要とする限度において、規約に基づく義務に違反する措置をとることができると定める。この場合でも、自由権規約6条の規定に違反することは禁止されている(4条2項)。ただし、死刑を廃止した国が6条の規定に違反しない範囲で4条に基づき死刑を復活させることまでは禁止していない。

 この点、死刑廃止条約は、〈この議定書の1条1項で保障される権利は、規約の4条に基づく離脱に服しない〉(6条2項)として、死刑復活を絶対的に禁止している。日本は、自由権規約40条に基づき、規約の履行状況についての政府報告書を定期的に提出しているが、その検討時に繰り返し自由権規約委員会より死刑廃止条約の批准を勧告されている。

*死刑制度□資料編A-5

参考文献

  • 阿部浩己「死刑廃止への挑戦 死刑廃止条約の成立経緯とその概要」(『自由と正義』42巻10号、日本弁護士連合会、1991)
  • 斎藤敏「いわゆる死刑廃止条約とわが国の立場」(同前)
(米田眞澄)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:44 (1358d)