社会移動【しゃかいいどう】

 この語を社会学の概念として確立したP.A.ソーロキンによれば,〈個人的・社会的事物もしくは価値――人間活動により創造され変容されたもの――のある社会的位置より他の社会的位置への変化〉を意味し,同一の水準の上にある社会的位置間の移動である水平的移動【すいへいてきいどう】と,上下に配列された社会階層間の移動である垂直的移動【すいちょくてきいどう】の2方向をもつとされたが,個人の垂直的移動がとくに重視されている。この概念を使えば,カースト制・身分制【みぶんせい】は,社会移動の禁止・制限を意味し,開放階級制【かいほうかいきゅうせい】をとる現代社会は,移動の制限がない社会といえるが,現実には種々の制限がある。部落問題は,原則として社会移動が自由であるべき現代の日本社会において,被差別部落出身であること,あるいは被差別部落に住むことによって,社会移動が妨げられる(基本的人権の侵害)事象としてとらえられる。

参考文献

  • P.A.Sorokin, Social Mobility (Harper & Brothers,1927)
  • 山本登「身分制度と差別意識」(『山本登著作集』6巻、明石書店,1984)
(山本 登)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:45 (1388d)