社会開発【しゃかいかいはつ】

 先進工業国の高度成長期に,経済開発に対する社会資本および住民生活環境の遅れが痛感され,社会開発推進の必要性が説かれ始めたのを受けて,1962年の国連総会は〈社会と経済の均衡ある発展〉をめざす宣言を採択した。その後,1970〜80年代に経済成長の一方で,むしろ貧困者や環境破壊【かんきょうはかい】が増大しているとの認識が生まれ、1990年前後には,〈住民参加型発展〉〈持続可能な発展〉などの新しい発展路線が国連や経済協力開発機構(OECD)などの場で主張されることになった。95年にはデンマークの首都コペンハーゲンで,国連主催の〈社会開発サミット【しゃかいかいはつさみっと(コペンハーゲン)】〉がもたれた。

 このサミットでは,90年代に世界規模で貧困,失業,社会分裂(南北格差【なんぼくかくさ】や貧富の格差,差別)が進んでいるとの認識から,これら3大社会問題を解決するために,一方では社会支出を増大して貧困や失業解消,社会統合に努力すること,他方ではこれまでの経済成長時代のように政府・企業に開発を委ねるのではなく,政府・企業が市民社会と連携して社会問題の解決に取り組むことの2点を確認した。したがって,社会開発というとき,第1には経済開発と社会発展のバランスをとること,第2には市民社会(NPOやNGO)が発展過程に参加することの二つの意味を指している。国連のグローバル問題会議では今や*NGOが参加するのが当然のこととなっているが,部落解放についても被差別当事者の主体的参加のもとに解放(発展)プログラムが推進されなければならないことを,社会開発問題は示している。

*政府開発援助

参考文献

  • 国際連合『世界社会開発サミット――コペンハーゲン宣言・行動計画』(国連広報センター、1998)
  • 西川潤編『社会開発――経済成長から人間中心型発展へ』(有斐閣、1997)
(西川 潤)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:45 (1388d)