社会的距離【しゃかいてききょり】

 個人(集団)が,他の集団に対し,自己との遠近を親近感の度合いに応じて表現するもの。たとえば、日本人の、外国人への社会的距離というとき、アメリカ人、ロシア人、韓国・朝鮮人などを並べ、親近感の程度によって近いか遠いかを配列していくかたちで示す。社会的距離の測定法は、E.S.ボガーダスの距離尺度が有名。彼はアメリカ社会に存する人種的・民族的偏見を測定するのに、各民族に対する態度測定の方法を考案した。それ以後、多くの研究者によって改良され、アメリカにおける*人種差別*民族差別問題に対する有効な分析方法の一つとして定着している。日本でも、最近頻発している外国人労働者に対するさまざまな問題にアプローチする方法として用いられている。

 部落問題に関していえば,多くの被差別部落外住民の,この問題(被差別部落住民)に対する〈できるだけかかわらず〉〈できるだけ離れていよう〉という態度のなかにみられる事象である。分析的には,〈距離化の過程〉として取り出される。内容的には,部落問題に対する部落外住民の〈構え〉の問題として表される。構えには,〈後ろめたい〉〈あいまいな〉〈斜めの〉という三つの要素が含まれる。一定の社会的距離を保とうとする事象は,部落問題自身に含まれる〈解放〉と〈差別〉の対立・緊張からの離脱とその離脱への自己正当化のなかで起きる。

参考文献

  • 江嶋修作「部落差別における〈距離化〉の一問題点」(『講座 差別の社会学1 差別の社会理論』弘文堂,1996)
(江嶋修作)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:45 (1294d)