社会的交流【しゃかいてきこうりゅう】

 日常生活で,人々は物質的な財や情報を交換することを通して互いの意思疎通をはかる。この意思疎通ができてはじめて,自分とは違う他者が<理解可能な存在>となる。この交換が可能となるには,人々の間にあるさまざまな<関係性>が前提であり,個人の<心的な領域>や<客観的属性>への一定の理解が,影響を与えることになる。<相手がわかる><相手の立場にたって,考え感じることができる>というとき,人々はこの日常的交換以上のコミュニケーションの形態を想定している。そこでは,他者との関係性を批判的に把握し,多様な差異を承認したうえで,互いの<心的な領域>にあるものをできる限り全体として理解しようと努力する。こうした他者理解の過程が<交流>といえよう。

 個人間で行なわれるのが<個人的交流>であり,集団や地域社会間で行なわれるのが<社会的交流>である。前者の場合,目の前にいる相手の<人となり>が直接理解可能であり<わかりあう>可能性は高い。だが後者は,そう簡単に実践されることはない。なぜなら,ときにある集団や地域をめぐる*偏見【へんけん】,差別的常識が,集団や地域それ自体を理解することを阻んでしまうからである。差別問題なかんずく部落差別問題にとって重要な課題は,こうした集団や地域間の<社会的交流>をいかにして可能にし,さらにそれを時間的,空間的に広げていくのか,ということである。そのためには,制度的に保障された同和教育,社会啓発場面だけでなく,人々の側でつくりあげる<交流>の場をさまざまに模索する必要があろう。

(好井裕明)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:45 (1294d)