社会的排除【しゃかいてきはいじょ】

 <社会的排除>の概念は,1974年フランス人のR.ルノアール(行政官僚)の著作『排除された人々』によって提起されたもの。その後の議論のなかで,貧困と相互関連性をもちながらも,概念としては独自なものとして深められてきた。排除には,たとえば,*労働市場からの排除,消費生活からの排除,公共サービスからの排除,基本的人権からの排除などがあり,それらが貧困者を立ち直れないようにしているとみる。したがって,この問題の克服には,社会への再参入プログラムが必要となる。

 わが国でもこうした現象は起きている。その端的な例が*ホームレス問題であろう。彼らは,失業し,あるいは公的扶助を受けられないだけでなく,あらゆる公的サービスから排除されているし,また市民としての権利も剥奪されている。近年,ホームレスをこうした視点からとらえようとする議論が始まっている。他方,部落にはなお多くの低所得者が暮らしているが,それがホームレスのようなかたちで問題が発生しなかったのは,部落が社会的きずなの強い地域社会として存続してきたからであろう。しかし,それは部落自体が日本社会の中で排除されてきた結果として,逆に部落という地域社会の住民がきずなを強めてきたことによる。いずれにせよ,社会的排除という視点から日本社会と部落の関係を新たに問うことから,新たな部落像を描くことも可能であろう。

参考文献

  • Jordan,B.,A Theory of Poverty and Social Exclusion (Polity Press,1996)
  • 岩田正美『戦後社会福祉の展開と都市最底辺』(ミネルヴァ書房,1995)
  • 斉藤日出治『ノマドの時代――世紀末ヨーロッパと日本』(大村書店,1994)
  • 連合大阪あいりん地区問題研究会『日雇労働者・野宿生活者問題の現状と連合大阪の課題』(1998)
(福原宏幸)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:45 (1294d)