社会的不平等【しゃかいてきふびょうどう】

 所得や資産(物的資源)、権力や権利(関係的資源)、知識や情報(文化的資源)といった社会的資源【しゃかいてきしげん】ならびにその獲得機会はさまざまな社会的地位に分配され、また、それぞれの社会的地位には社会成員(個人・集団)が配分されている。このような資源分配や人員配分についてはなんらかの〈等しさの基準〉が設けられているが、資源分配や人員配分がその基準に合致しない場合、社会的不平等が生じている、という。物的資源だけでなく、意思決定の場に参加する権利や情報といったさまざまな資源の分配や人員配分の不平等を扱う点において単なる経済的不平等とは異なる。資源分配や人員配分の等しさをはかる基準としては、同じ量のものが分配−配分されていることを平等と考える<数量的平等>と、能力・業績・必要度などなんらかの特性に応じた分配−配分がなされていることを平等と考える<比例的平等>とが区別される。また、結果として分配−配分される資源−地位の平等を問題とする〈結果の平等【けっかのびょうどう】〉と、出発点における資源−地位の獲得機会の平等を問題とする〈機会の平等【きかいのびょうどう】〉という区分の仕方もある。社会的平等、不平等は、この両者を組み合わせて考えることができる。たとえば、普通選挙制は意思決定の場へ参加する権利の分配における<結果の数量的平等>を保障した制度であり、制限選挙制はある基準(性別や納税額など)に応じた参政権の<結果の比例的平等>分配を行なう制度であると考えられる。累進課税制度や福祉制度にみられる所得の再分配などは物的資源分配における<結果の数量的不平等>を縮小するための制度とみなせるし、男女雇用機会均等法などは地位達成過程における<機会の数量的不平等>を是正するための制度である。〈*アファーマティブ・アクション〉としての人種割当制などは差別されてきた集団に対して、業績よりも必要といった基準で集団レベルでの<機会の比例的平等>を求める施策といえよう。社会的不平等が相対的に持続している状態が観察される場合、その社会には階層構造が存在している。また、人員配分の不平等は社会移動論との関係が強い。なお、資源分配のルールや不平等の正当性を問題とする場合には社会的公正【しゃかいてきこうせい】や公平についての議論となる。社会的不平等がなんらかの基準に照らして公正な範囲内にあると判断されている場合には社会的抗争は生じにくいが、不平等が公正かどうかの判断はマジョリティ(多数派)によってなされる場合が多く、意思決定の場から排除されがちなマイノリティ(少数派)の異議申し立ては考慮されにくいといった問題もある。

参考文献

  • 石川晃彦・川崎嘉元編『社会主義と社会的不平等』(青木書店、1983)
  • 直井優他編『現代日本の階層構造』1〜4(東京大学出版会、1990)
(稲月 正)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:45 (1417d)