住宅地区改良法【じゅうたくちくかいりょうほう】

 1960年(昭和35)5月17日制定(法律84号) 〈*不良住宅が密集する地区の改良事業に関し,事業計画,改良地区の整備,*改良住宅の建設その他必要な事項について規定することにより,当該地区の環境の整備改善を図り,健康で文化的な生活を営むに足りる住宅の集団的建設を促進し,もって公共の福祉に寄与することを目的〉(1条)とした法律。1927年(昭和2)に制定された*不良住宅地区改良法【ふりょうじゅうたくちくかいりょうほう】が,事業の内容・手続き・補助等の分野で現実に適合しない状況を受けて,60年に制定された。本法に基づいて行なわれている事業としては*住宅地区改良事業が挙げられるが,本法に基づかない予算補助事業(任意事業)としての*住環境整備事業【じゅうかんきょうせいびじぎょう】としては,*小集落地区改良事業【しょうしゅうらくちくかいりょうじぎょう】のほか数種の事業が挙げられる。

 本法は,戦前の*不良住宅地区改良事業を受け継ぎ,日本では数少ない住居法の系譜に属する法律と評価される。しかし,本法にもいくつかの欠陥が指摘されよう。第1は,本法の規定する不良住宅地の範囲の狭さに関する問題である。不良住宅が密集する土地のみが*不良住宅地区とされ,土地利用の混乱,*公共・公益施設の不足,災害の危険,日照・騒音といった環境悪化の諸要因は直接的には考慮されていない。第2に,不良住宅の評価はもっぱら住宅の構造・設備の不備が重視され,住宅の規模や食寝分離、性別就寝といった住まい方等はなんら考慮されていない。第3に,不良住宅地区と認定されても,住宅地区改良事業が義務づけられていない点が挙げられよう。第4に,本法ではあくまでも*スラム・クリアランス事業を想定しており,ブライト型の不良住宅地の改良や住民の持ち家志向にはこたえられない。各種の任意事業でこの点をカバーしているが,本法自体の見直しも考える必要があろう。これらの諸点の改善が今後に要請されているといえよう。

参考文献

  • 内田雄造『同和地区のまちづくり論』(明石書店、1993)
(内田雄造)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:46 (1469d)