女性差別撤廃条約【じょせいさべつてっぱいじょうやく】 Convention on the Elimination of All Forms of Discrimination Against Women

 公式名称(政府公定訳)〈女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女子差別撤廃条約)〉は,1967年(昭和42)11月7日,国連第22回総会採択の女性差別撤廃宣言【じょせいさべつてっぱいせんげん】Declaration on the Elimination of Discrimination Against Womenを条約化したもの(1979年12月18日,国連第34回総会が賛成130,反対0,棄権11で採択。1981年9月3日発効)である。日本は80年7月の署名式で署名したが批准が遅れ,85年6月批准書寄託。7月25日,日本につき効力を発生した。99年(平成11)7月現在の締約国数は163。

 条約は前文と本文30カ条からなる。まず前文で,国の発展・世界の平和が真の男女平等確立のうえに実現するとの確信,男女平等確立に性別役割分担論【せいべつやくわりぶんたんろん】の克服が必要との認識などを条約採択の動機に掲げたうえで,第1条で〈女性差別〉を〈性に基づく区別,排除または制限で,未既婚を問わず,あらゆる分野での女性間・男女間平等を基礎とする人権および基本的自由を認識し,それを享有・行使することを害し,無効にする効果・目的をもつもの〉と定義。締約国は,女性差別を撤廃する政策追求に合意し,立法その他の措置を講じる義務を負うとともに,あらゆる分野における女性の完全な能力開発および向上を確保するための措置をとることを約束。また男女の定型化された役割に基づく偏見・慣習・慣行の撤廃を実現するために,男女の社会的・文化的行動様式を修正し,子の養育・発達における男女の共同責任の承認を家庭教育に含めるなどの措置をとることも約束する。つまり、この条約の目標は、事実上の男女平等の実現にあるのである。

 そしてこれらの約束の実行確保のため,女性差別撤廃委員会【じょせいさべつてっぱいいいんかい】(CEDAW)を設置。CEDAWは,締約国に自国での条約実施状況を定期的に報告させ,審査を行なう。裁判ではないから判決は出ないが,94年から各報告国に対し,CEDAWがコメントをつけるようになった。また報告の審査(対話)を通じて,各国での女性の人権保護が実効化することが期待されている。

 条約批准に際し,日本は国籍法を改正(1986.1.1施行),日本国籍付与原則を父系優先から父母両系の血統主義に改めるとともに,*男女雇用機会均等法を85年6月に成立させ(一部を除き1986.4.1施行),学習指導要領を改訂して家庭科学習を男女共修【だんじょきょうしゅう】とする(小学校1992年,中学校1993年,高校1994年実施)などの手立てを講じた。その後も法例を改正したり(1990.1.1施行),民法改正(*夫婦別姓の導入等)に着手するなどの努力を続けている。なお,個人からの権利侵害の申し立てに関する同条約の選択議定書が99年10月6日,第54会期国連総会で採択され、2000年12月22日に発効。 資料編A-14

参考文献

  • 国際女性の地位協会編『女子差別撤廃条約注解』(向学社,1992)
  • 国際女性法研究会編『国際女性条約・資料集』(東信堂,1993)
(小寺初世子)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:46 (1469d)