少数者の権利宣言【しょうすうしゃのけんりせんげん】

 正式名称は〈民族的又は種族的、宗教的および言語的少数者に属する者の権利に関する宣言〉。1992年12月18日、国連総会第47会期で採択。少数者問題に対して国連が従来もっていた同化主義的傾向から、積極的な権利擁護の方向転換を宣言した画期的な文書である。このことは、*国際人権規約(自由権規約)27条や*子どもの権利条約30条が、〈権利を否定されない〉という消極的表現にとどまっているのに対し、宣言2条が、〈権利を有する〉と積極的表現をしていることにも表れている。

 1条は、国家の義務として、立法その他の措置による少数者の権利の保護と促進を規定。2条は、権利内容として主に、ー己の文化を享有し、自己の宗教を信仰し、自己の言語を使用する権利、∧顕重、宗教的、社会的、経済的および公共生活への参加の権利、政治的な意思決定過程に参加する権利、ぜ己の結社を設立し維持する権利、ヂ召両数者と交流する権利などを規定する。3条は、権利の個人的および集団的行使によって、差別や不利益を被らないことを規定する。4条は、国家がとるべき措置として、*アファーマティブ・アクションの奨励、母語教育のための措置、少数者の歴史や伝統、文化について学ぶ機会の保障、経済発展への参加を規定する。5条は、国家政策および国際協力の立案と実施において、少数者の正当な利益を考慮するよう国家に命じている。

 6条は、国家間の相互理解と信頼のための協力、7条は、宣言の権利尊重のための国家間協力を規定する。8条は、この宣言と他の国際文書との関係を規定し、9条は、国際機関による宣言の実施について規定する。宣言には条約のような法的拘束力はないが、95年に国連差別防止少数者保護小委員会(現*国連人権促進保護小委員会)のもとで少数者作業部会が設置され、少数者の権利の促進と実現を検討している。 資料編A-8

(窪 誠)

トップ   差分 リロード   一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:46 (1388d)