職業安定法【しょくぎょうあんていほう】

 公共および民間の職業紹介事業等の適正な運営を確保することにより,各人にその有する能力に適合する職業に就く機会を与え,職業の安定と社会の発展に寄与することを目的として制定された基本的な法律(1947.11制定,法律141号)。この法律に基づき,およそ半世紀にわたって,職業紹介事業は一部の業種を除き国の機関によって無料で行なうこととされていた。 1997年6月にILO181号条約(民間職業仲介事業所に関する条約)の採択(1999.7批准)など職業紹介【しょくぎょうしょうかい】をめぐる国際的な動向や,国内における労働市場の多様化,流動化等の時代の趨勢に対応して,99年(平成11)12月以降は,港湾運送,建設業務等を除き,民間事業者も有料の職業紹介事業を行なうことができるようになった(ポジティブ・リストからネガティブ・リストへ)。

 この法律の基本的な理念は,_真佑盡共の福祉に反しない限り職業を自由に選択できること。⊃Χ半匆陝職業指導等にあたっては,人種・国籍・信条・性別・社会的身分・門地・従前の職業・労働組合員であること等を理由として差別的取り扱いをされないこと。5畤者等の個人情報等は,業務の目的の達成に必要な範囲内で収集し適正な管理によって守られ,取り扱い者には守秘義務が課せられること等であり,公共および民間に共通するルールが整備され規定されている。とくに求職者等の個人情報の取り扱いについては、99年の改正により、法48条に基づく指針が示され、労働者の募集を行なう企業にも適用されることとなった。指針では、社会的差別の原因となるおそれのある事項の情報は原則として収集禁止、本人から直接収集するか、本人以外から収集するときは本人の同意の下で適法かつ公正な手段によること、新規高卒者等は*統一応募書類等によること、などが定められている。

 この法律により,人と職業との結合は,その人の労働能力に基づいて決定されるべきものであり,労働能力以外の理由で差別待遇を受けるべきでないことが明らかにされている。しかし現実は、企業の採用選考においてはこの原則が十分に受け止められていない面もある。すなわち,本人の適性や能力以外の理由,たとえば家庭の事情や居住環境など本人の責任によらないような事柄を根拠として採否が決定されるなどの差別的選考や,求職者が提出した個人情報等が不正に第三者に伝達されて身元調査に利用されるなどの事件が後を絶たない現状にある。

(竹村 毅)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:47 (1294d)