人権擁護行政【じんけんようごぎょうせい】

 行政が行なう,人権侵犯事件の調査・処理,人権相談,人権思想の啓発,法律扶助などの施策。担当機関は,*法務省人権擁護局,この下部機関である法務局人権擁護部(東京,大阪,名古屋,広島,福岡,仙台,札幌,高松),地方法務局人権擁護課(全国42カ所),法務局・地方法務局の支局(全国256カ所)。これらは,人権擁護機関【じんけんようごきかん】と呼ばれる。人権侵犯事件【じんけんしんぱんじけん】とは,部落差別,障害者差別,民族差別など,さまざまな形態の差別や,精神病院等の収容施設における虐待,*村八分,公務員による職権濫用,出版物等による名誉・信用の侵犯などによって,憲法に保障されている基本的人権が損なわれ,人間としての尊厳を傷つけられる事象をいう。人権擁護機関は,人権侵犯の訴えに対し,人権侵犯事件調査処理規程という訓令に基づき,調査,情報収集を行ない,侵犯事実の有無を確認し関係者に人権思想の啓発を行なう。これは,加害者に対し十分説得しながら反省を促すものであり,強制力によって侵犯の排除をはかるものではない。

 人権擁護行政は,部落差別をはじめ,さまざまな差別問題をかかえる日本社会で非常に重要な位置にあるが,国・地方公共団体を問わず軽い位置づけをされており,形式的な対応処理が批判されている。日本社会の目標であるべき基本的人権確立の理念からして,その組織、権限の両面において人権擁護行政の質量ともに飛躍的な充実・強化が求められている。

〈人権相談〉

 住民の日常生活における人権問題について相談に応じ,必要な助言を行なうこと。人権相談所【じんけんそうだんしょ】は上記の人権擁護機関に常時開設されているほか,デパート,公民館等で定期的に開設される。そこでは,法務局職員,法務大臣委嘱の*人権擁護委員が相談に応じている。なお,人権擁護委員【じんけんようごいいん】は自宅においても相談に応じる。この人権相談事業は,人権擁護行政の主要な部門であり,相談は無料で,複雑な手続きも不要であり,相談内容についての秘密は厳守される。人権思想の啓発は,人権侵犯事件の調査・処理や人権相談の過程で,個別具体的に行なわれるほか,*人権週間(12月4〜10日),人権擁護委員の日【じんけんようごいいんのひ】(6月1日)を中心として取り組まれている。この期間を中心に法務局等と人権擁護委員によって,講演会・座談会の実施,作文・標語等の募集や作品集の発行,作品展示会の開催,マスコミの利用,掲示物,街頭キャンペーン等,幅広い啓発活動が行なわれる。


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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:48 (1300d)