成年後見制【せいねんこうけんせい】

 20歳を超える人で、物事を理解する能力(事理弁識能力)が十分備わっていない場合(精神障害者、知的障害者、痴呆性高齢者など)に、その人の人権を保障し社会参加を支援していくために成年後見人を選任して、定められた範囲内の個々の法律行為について成年後見人が同意権、取消権、代理権を行使する制度。民法では成年後見制度として禁治産制度(後見制度)と準禁治産制度(保佐制度)を定めていたが、本人の財産保護に重点を置くため、本人が有する能力を活用して自己決定する機会を奪ってしまっていることなど、現在の*ノーマライゼーションの理念にそぐわない状況になっていた。1999年(平成11)12月、民法の一部(総則、親族法、相続法)改正案など関連4法案が成立。介護保険制度に合わせて、2000年4月1日に施行された。

 改正民法によって新しく加えられた補助制度は、軽度の精神上の障害のため事理弁識能力が不十分な人を対象に成年後見人(ここでは補助人)をつけられるようにする制度である。また、自己決定尊重の理念をとりいれて、前記補助人の選任にあたっては本人の同意が要件とされ、すべての成年後見人は後見事務の処理にあたっては客観的合理性よりも〈本人の意思を尊重しなければならない〉とされた。さらに、後見事務の安定などを考慮して、法人(社会福祉法人、NPO法人、営利法人など)も成年後見人となれることになった。また、成年後見人を、能力があるうちに自ら契約により選任できるようにする制度(これを任意後見制度という)も同じく制度化された。

 新しい成年後見制度は高齢者や障害者の自己決定を尊重しようとするものであるが、依存的な自己決定ではなく自立的自己決定を実現していくために当事者を支援(アドボケイト)していく必要がある。

参考文献

  • 小林昭彦・大鷹一郎編『わかりやすい新成年後見制度』(有斐閣リブレ、1999)
(池田直樹)

トップ   差分 リロード   一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:49 (1294d)