政府開発援助【せいふかいはつえんじょ】 Official Development Assistance

 なんらかの贈与要素をもって政府から発展途上国に供与する資金。略称、ODA。ODAは途上国の発展をめざしたり,人道的配慮によるものといわれるが,歴史的にいえば,米ソの冷戦時代の戦略援助,ヨーロッパ諸国の旧植民地諸国における権益保持をめざす援助,日独などの市場確保をめざす援助等,さまざまな起源があり,単に人道的な援助とは限らない。逆に、ODAによって立ち退きや環境破壊【かんきょうはかい】等が引き起こされるなど,人権が無視される例もしばしば見られる。海外経済協力基金の融資を受けたインドネシアのクドゥン・オンボ・ダムやコト・バンジャン・ダムでの住民追い立てや生物多様性破壊、フィリピンのレイテ工業団地での公害問題などである。日本のODAも1950年代の戦争賠償に発し,60年代の円借款による市場確保,70年代の民間投資を支持する融資やインフラ作り等、重点の変遷がある。80年代には貿易黒字を吐き出し,円高を避けるかたちでODAが倍々ゲームで増え、90年代半ばに日本は経済協力開発機構(OACD)の開発援助委員会(DAC)21カ国のODA総額約600億ドルの4分の1を占めて世界一の援助大国となった。しかし,90年代後半には,財政赤字の増大,DAC諸国に共通する援助疲れ等の理由により,98年度よりODAの10%削減が始められ,同時に〈ODA改革〉が議論されるようになった。ODAと日本の地域開発や同和対策は〈箱物作り〉という点で共通性がある。しかし,ODAでも同和対策でも、歴史の中で周辺化された民衆の立場を法(正義)によって改善することこそが課題である。ODAの量的拡大に限界の見えた今日,基本法の制定と住民参加によってODAの質的改善をはかることこそが重要であることは同和問題と軌を一にしている。

*社会開発

参考文献

  • 津田守・横山正樹『開発援助の実像――フィリピンから見た賠償とODA』(亜紀書房、1999)
(西川 潤)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:49 (1388d)