西成差別【にしなりさべつ】

 大阪市西成区内の同和地区住民に対する部落差別,*釜ヶ崎(あいりん)地区の日雇い労働者に対する偏見,定住韓国・朝鮮人に対する民族差別,障害者差別などがからみあい,老朽木造住宅密集地域という劣悪な生活環境も加わり,〈西成はこわい所〉〈西成はきたない〉というマイナスイメージが形成され,結婚,就職等に人権侵害をもたらしている社会意識。

 1995年(平成7),鳥取県米子市民が西成区役所に,〈西成区といえば色々な人種が集まっている所なので大変心配して〉〈結婚相手の人が部落かどうか調べてほしい〉という内容の手紙を送り,娘の交際相手の西成区住民の身元調査を依頼するという差別事件が起きた。また96年には月刊漫画雑誌『別冊フレンド』(講談社)3月号に連載中の「勉強しまっせ」のなかで, 主人公の少年が〈兄貴おるけど高校中退してからずっと西成住んどるし…〉と話す頁の欄外に,西成の注釈として〈大阪の地名,気の弱い人は近づかない方が無難なトコロ〉とあった。注釈をつけた副編集長は〈4年前の秋,大阪のいろんな場所を知ろうと通天閣,新世界を訪れた際,路上で寝ている人などを見て,こわい所だという印象を持った〉と述べている。中学生の告発から,96年3月、市民の抗議集会に発展。

 93年、部落解放同盟西成支部や各団体で論議を重ね〈西成街づくり委員会〉が発足。〈西成区民の人権宣言〉を4月に発表し、〈差別の長い歴史によってゆがめられた人間と人間との関係を豊かに築き直し〉〈区民の対話〉と〈不断の努力〉によって〈人権尊重の発信地〉にすることを提案した。95・96年には〈西成まちづくり研究集会〉が開かれている。

*釜ヶ崎

参考文献

  • 辻暉夫「『別冊フレンド』差別事件と区民の抗議」(『ヒューマン ライツ』99号、1996)
  • 「米子市民による結婚身元調査差別事件」(部落解放基本法制定要求国民運動中央実行委員会編『部落解放基本法の現実的制定を』1996)
  • 西成地区街づくり委員会編著『'96西成まちづくり研究会議案』(1996)
(黒田伊彦)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:49 (1417d)