選民思想【せんみんしそう】

 自らを神により特別に選ばれた民族であると自覚する優越意識【ゆうえついしき】。一般的には,『旧約聖書』にみられるユダヤ民族が他民族を指導する使命をもつという意識に顕著であるが,ファシズム期のドイツにおける<アーリヤ人種>の優越意識や日本の<皇民>意識にも同様のものがみられ,ここにおいては,選民思想は他民族に対する蔑視,排斥を伴うものとなっていた。一方,*全国水平社においては,マルクス主義に立脚した*全国水平社青年同盟が,その機関紙名を*『選民』とするが,それは,<賤民>の同音異義語としての言い換えではなく,時代を創造する<選民>という意識を反映したもので,そこには,被差別部落大衆が社会主義革命の礎石となることで,差別からの解放の展望が開かれるという使命感が存在していた。

参考文献

  • 藤野豊『水平運動の社会思想史的研究』(雄山閣,1989)
(藤野 豊)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:50 (1300d)