代用監獄【だいようかんごく】

 刑事事件の被疑者として、警察に逮捕、勾留された場合は警察署内の留置場に収容されるのが一般である。このような留置場のことを〈代用監獄〉と称する。その根拠は監獄法1条3項に〈警察官署ニ附属スル留置場ハ之ヲ監獄ニ代用スルコトヲ得〉と規定されていることにある。このような規定が置かれた背景には、本来、被疑者・被告人は警察機関とは分離された拘置所(監獄の一種)に拘禁すべきところ(同法1条1項)、監獄法が制定された当時(1908)監獄(拘置所)の数が少なかったため、例外的暫定的施設として容認せざるを得なかったからと思われる。監獄法の制定にあたって、当時の政府は留置場を監獄の代用に利用することの弊害を認めて〈将来は監獄として使用しない〉ことを帝国議会に約束していたのである。

 代用監獄の弊害としては、捜査機関と被疑者の身柄拘禁機関とが分離されていないために、捜査機関が被疑者の身柄を確保していることから自白を強要し、そのために虚偽自白を引き出してしまい、結果的に八海事件や仁保事件など多くの*冤罪を生み出したということである。1993年(平成5)10月国連規約人権委員会に提出された日本政府報告書およびこれに対する日弁連の反論書の中で代用監獄問題が議論され、同委員会はこの点を指摘して〈規約のすべての要件に適合するように〉との警告を発している。政府は、82年(昭和57)を皮切りに、この暫定的な制度を固定化するために〈拘禁施設法案〉〈留置施設法案〉を三度も国会に提出したが、いずれも日弁連を中心とした国民の強い抵抗にあって廃案を余儀なくされた。

参考文献

  • 日弁連編『代用監獄の廃止と刑事司法改革への提言』(明石書店、1995)
(池田直樹)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:50 (1294d)