大衆社会【たいしゅうしゃかい】

 大衆(互いに見知らぬ異質な個人から構成される匿名集団)の登場,政治の民主化,*マスメディアの発達,大衆消費の普及などによって示される社会の構造的変化であるところの<大衆化>の進展の結果,移動性の増大,社会分化の進行,伝統的価値体系の崩壊,社会的紐帯の喪失などによって特徴づけられる社会。現代社会の基本的な動向である大衆社会化の影響は,部落にも及んでいる。伝統的な人間関係が希薄化することによって解放運動への結集力が弱まり,若い人々の部落外への転出が増えて、高齢化が進行するだけではなく,解放運動の成果として経済的・物的条件が従前と比べて改善されるなかで,部落差別の本質とその現況についての認識力と洞察力を持てない人が増えていること,人間疎外と退廃現象が部落への差別観念の温床となることに対して認識が欠如しがちであること,消費社会とその文化の虜になる人が増えていることなど,複雑で困難な状況が生じている。

参考文献

  • D.リースマン『孤独な群衆』(加藤秀俊訳,みすず書房,1964)
(鐘ケ江晴彦)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:51 (1300d)