男女雇用機会均等法【だんじょこようきかいきんとうほう】

 1972年(昭和47)7月1日制定(法律113号) 勤労婦人福祉法を大幅に改正して1986年(昭和61)に施行された<雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉に関する法律>を,97年(平成9)に改正したもの。正式名称は<雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律>で,99年4月1日施行。主な改正点は,第1に募集・採用・配置・昇進における均等な機会と取り扱いの努力義務を差別禁止規定にしたこと(5条・6条),第2に旧法では違反した場合の制裁措置がなかったのに対し,改正法では労働大臣は違反している事業主に対し勧告をした場合において,<その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは,その旨を公表することができる>として,企業名公表という制裁制度を新設したこと(26条),第3に旧法では労使双方の同意がなければ機会均等調停委員会が開始されなかったのだが,改正法では原則として相手が同意しなくても調停が始められるようになったこと(13条)などである。

 事業主が均等確保のために講ずる措置に対する国の援助が新たに規定(20条)された。この規定は,*ポジティブ・アクション(過去の処遇の差を含めて,雇用における事実上の差別を解消するための積極的な取り組み)を規定したものではないが,企業の取り組みについて法的根拠が設けられた意義は大きい。労働省の<女性労働者の能力発揮促進に関する研究会>が作成した〈女性労働者の能力発揮促進のための企業の自主的取組に関するガイドライン〉は,女性の採用拡大・職域拡大・女性管理職の増加・勤続年数の伸長(職業生活と家庭生活との両立)・職場環境および風土の改善の目標を掲げて具体策を細かく述べており,積極的な活用がなされれば大きな成果が上がるものと思われる。また,事業主の職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の配慮義務が規定(21条)された。このことにより,職場における*セクシュアルハラスメント【せくしゅあるはらすめんと】が職場の性差別の問題であり,事業主の責任も発生する場合があることが,法律上位置づけられた。これを受けて労働大臣は,セクシュアルハラスメントについての指針を定めた。企業の積極的な取り組みが望まれる。

 均等法改正と同時に*労働基準法の時間外・休日労働と深夜業に関する<女子保護規定>が撤廃され,*育児・介護休業法に家族的責任を有する男女労働者の深夜業制限規定が新設された。この改正は<女性のみの保護から男女共通規制へ>という世界の大きな流れに一応沿うものではあるが,男女共通規制よりも女子保護規定の撤廃が先行したため,女性も男性も長時間労働や無制限の深夜労働に組み込まれるだけになるのではないかという危険性が指摘されている。職場における男女平等の実現のためには均等法の実質化だけではなく,男女共通規制,つまり男性の働き方も法律で規制し,男女ともに人間らしい暮らしを実現することが求められている。□資料編B-12

参考文献

  • 浅倉むつ子『均等法の新世界』(有斐閣、1999)
  • 福島瑞穂・金子雅臣他『セクシャル・ハラスメント』新版(有斐閣、1998)
(福島瑞穂)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:51 (1469d)