陪審制度【ばいしんせいど】

 司法手続きにおいて,公平に選ばれた一定数の人が陪審員となり,与えられた証拠に基づき事実問題について評決を下す裁判制度。民事、刑事の審理を行なうものを審理陪審または小陪審,刑事上の訴追を決定するものを起訴陪審(捜査陪審)または大陪審という。陪審裁判の起源は必ずしも明確ではないが,イギリスのコモン・ロー上の制度として発達し,やがてアメリカに継受され,英米法系の裁判の基本となった。イギリスでは大陪審の制度は1933年に廃止された。フランスやドイツでも陪審裁判を採用していた時期があったが,現在のフランスでは,3人の職業裁判官と9人の陪審員とが合議で判決の内容を定めるものであるから,実質的には参審制となっている。また,ドイツでは現在,陪審制は廃止され,大刑事部の裁判は3人の職業裁判官と2人の素人裁判官(名誉職裁判官)による合議で行なわれる参審制となっている。

 わが国では,23年(大正12)に陪審法が制定され,28年(昭和3)から刑事裁判で審理陪審が実施されたが,多くの制度的欠陥を内包していたため,審理件数は29年の124件をピークに次第に衰退し,やがて戦時下の重圧のもと43年に施行が停止されたまま現在に至っている。何らかのかたちで国民が直接司法に参加することは国民主権主義の帰結であり,その意味からも,最近,各地の弁護士会や市民グループなどを中心に陪審制復活の論議が高まりつつあることは当然といえよう。

参考文献

  • 青木英五郎『陪審裁判』(朝日新聞社,1981)
  • 大阪弁護士会編『陪審制度』(第一法規,1989)
  • 東京弁護士会編『陪審裁判』(ぎょうせい,1992)
(森井 〓*1

*1 日ヘンに章

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:53 (1294d)