夫婦別姓【ふうふべっせい】

 民法750条は<夫婦は,婚姻の際に定めるところに従い,夫又は妻の氏を称する>と規定している。つまり夫婦同姓を規定しているわけで,夫か妻のどちらかが姓を変えなければ,婚姻届を出せないことになっている。

 この夫婦同姓の強制には,第1に氏名権を侵害するのではないかという問題,第2に結婚改姓が不便・不利益ではないかという問題,第3に条文上は<夫又は妻>となっているけれども実際は約98%の女性が結婚改姓をしており,このことは家族生活における個人の尊厳と両性の平等を規定した憲法24条や<夫及び妻の同一の個人的権利(姓及び職業を選択する権利を含む)>を確保することを求めた*女性差別撤廃条約16条1項(g)に反するのではないかという問題,第4に女性が姓を変えると<嫁にいった><嫁にもらった>と言われ,男性が姓を変えると<婿にいった><婿にもらった>と言われ,*家制度を助長している面があるという問題が指摘されている。

 法務大臣の諮問機関である法制審議会は1996年(平成8)2月,結婚と離婚に関する規定、*婚外子の法定相続分の差別の撤廃を盛り込んだ民法改正案を法務大臣に答申した。この民法改正案には,夫婦別姓選択制の導入も含まれていたが,自民党内の一部の反対により,閣議決定を経た政府提案立法としては,国会に上程されなかった。翌97年の通常国会に議員立法として提出されたが,廃案となった。近年,婚姻届を出さず,別姓を維持する人たちと,婚姻届は出すが,いわゆる旧姓をそのまま通称として使う人たちが増加している。関口礼子(図書館情報大学教授)は,戸籍名を強制しないでほしい,通称を使いたいと88年、国を相手に提訴し1審では敗訴したが,98年3月,東京高裁で和解が成立した。

参考文献

  • 福島瑞穂『結婚と家族』(岩波書店、1992)
  • 高橋菊江他『夫婦別姓への招待』新版(有斐閣、1995)
(福島瑞穂)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:54 (1449d)