門地【もんち】

 一般的には家柄【いえがら】と同義。個人的価値よりも家を重視し,家系の継承と永続を尊重する伝統的な日本の社会において,個々の家の過去の社会的勢力を評価基準として家単位になされる社会的格付けをいう。しかし,門地には上下的な家々の位置関係のうち,とくに高い評価を与えられた一群の家々の集合体,すなわち門閥【もんばつ】の意味が含まれている。門閥とは,集団や地域社会において高い家柄に属するものとみなされた相互に血縁的ないし疑似血縁的な関係をもつ複数の家が、排他的な地位を占める場合をいう。これらの家々は,封鎖的・排他的・因襲的・感情的な非合理的な結合を示し,社会の上層にあって一定の権威を付与され,相応の影響力を行使した。

 このように家々の間に設定された尊卑,高低などの社会的格付けの観念は,とりわけ近世封建社会における身分的差別の強化に対して重要な役割を演じたが,今日においてもなおそれが部落差別を支える基盤として残されていることは否定できない。*日本国憲法は,〈法の下の平等〉の原則を明示し,〈人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない〉(14条)と定め,〈国会議員及び選挙人の資格〉(44条)についても同様に門地による法的差別を禁止している。また,*教育基本法においても〈人種,信条,性別,社会的身分,経済的地位又は門地によって,教育上差別されない〉として,門地による差別を〈教育の機会均等〉(3条)の原則に反するものと定めている。なお*人種差別撤廃条約【じんしゅさべつてっぱいじょうやく】においても、この条約の対象となる差別の定義(第1条)のなかで〈人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づく〉差別と規定されているが、このうちの〈世系descent〉には、日本の家柄、門地等も含まれるという解釈が有力である。

(光吉利之)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:57 (1417d)