立身出世主義【りっしんしゅっせしゅぎ】

 地位の階層的序列化が構造化された社会で,地位の上昇に価値をおく生き方やものの考え方。日本における立身出世は,個人的な報酬や権力の獲得が目的とされただけでなく,〈故郷に錦を飾る〉ということばにみられるように,帰属する集団や共同体からの評価を重視した。そのため,ムラ的社会秩序や身分階層的秩序に批判的な視点は生まれず,それを補強する役割を果たしてきた。*部落問題と関連するのは,次の点である。[身出世の価値が一般化した社会では,部落出身者もその価値を内面化し,立身出世をすれば差別を受けなくてもすむといった見方が生まれた。△靴しながら,現実には,立身出世の競争場面から排除されるか,もしくは著しく不利な立場に置かれるという形で部落差別は作用した。そのため,立身出世主義の観点からでも,平等な出世の機会は保障されるべきだという主張が生まれる。ぞ稱匹鮠茲蟇曚部落出身者の中から,立身出世するものが生まれたが,その多くは部落出身者であることを隠し,部落や家族とのつながりを断ち切り,〈故郷に錦を飾る〉ものではなかった。ド落解放運動の立場からは,立身出世主義が,部落差別を支えるムラ的社会秩序や身分階層的秩序を基盤とするところから,部落解放の思想とは対立するものであるととらえられてきた。

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参考文献

  • 竹内洋『日本人の出世観』(学文社,1978)
  • 門脇厚司『現代の出世観』(日本経済新聞社,1978)
(野口道彦)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:57 (1294d)