祟り【たたり】

 不幸や災厄に陥っている人たちが,その不幸や災厄の原因を科学的・合理的に求めずに,他者や霊魂(神霊,先祖の霊,死者の霊,生者の霊など)の怨恨や憎悪の感情のせいにしようとする所信・考えのこと。現在の社会心理学ではこのことを<原因帰属の誤り(ある事象の原因が常に正しく指摘されるわけではない)>の一種として考えることができるだろう。祟りの所信は,このように怨恨や憎悪の感情に動機づけられていると考えられているので,祟る側と祟られている側との間に社会的緊張をはらんでいる。

 たとえば、*憑きもの俗信で祈祷師は少なからぬ役割を演じていると思われるが、ある祈祷師は、身体不調となり次第に悪化して激しい発作に襲われ、死期を感じるようになった(実際は、肋間神経痛と気管支喘息)。彼は〈自分がこのように苦しむのは、感情を害し交際を断つに至った師匠の二人が崇って狐を憑けたに違いない〉と判断し、自分の弟子を集めて〈呪い返し〉の祈祷をしたという。この背景には祈祷者同士の勢力争いという社会的緊張関係があったとみられるのである。

*迷信

参考文献

  • 野村昭『俗信の社会心理』(勁草書房、1989)
(野村 昭)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:58 (1295d)