ILO【アイエルオー】

 国際労働機関International Labour Organizationの略称。社会正義を基盤とする世界の恒久平和確立を目的とする国際政府間機関。1919年,ベルサイユ条約によって設立された。当初は,国際連盟の姉妹機関だったが,第2次大戦後は*国際連合の専門機関の一つとなった。他の国際機関にみられない特色は,その活動に,政府,使用者,労働者の三者が参加する三者構成方式である。主要な活動は,条約・勧告の形式で国際労働基準を設定し,その批准・適用を加盟国に求めることである。これまで,181の条約と188の勧告が採択され,174カ国の加盟国がその多くを批准している(日本の批准数は42)。条約,勧告で取り扱われている事項は,差別待遇廃止をはじめとする基本的人権や,雇用,失業,賃金,労働時間,社会保障など多岐にわたる。近年は,基準設定のほか,発展途上国に対する技術協力活動が盛んになり,専門家の派遣や研修生への援助なども行なわれている。

 ILOには,総会,理事会,事務局の3つの主要機関がある。毎年6月に開かれる総会は,条約・勧告の採択,予算の承認などを行なう最高議決機関で,加盟国から4人の代表(政府2,労使各1)が出席する。理事会は,総会の決定を執行する機関で,企業の取締役会,労働組合の執行委員会に似たものである。事務局は,理事会の監督下に日常業務を遂行する。ジュネーブの本部のほか,世界各地に地域事務所,支局などがある。

 近年グローバリゼーションの進行にともなって、ILO条約・勧告などの国際労働基準を貿易条件の一つとする動きがでてきた。ILOは1998年の第86回総会で〈労働の基本的原則と権利に関する宣言〉を採択してこれに対応し、新しい歩みを示した。宣言は、すべての加盟国が、中核的7条約――結社の自由と団体交渉(87号、98号)、強制労働廃止(29号、105号)、児童労働廃止(138号)、雇用・転業の差別待遇の廃止(100号、111号)の四基本原則を尊重し、実現する義務があるものと定めている。

(柳川和夫)

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Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:28 (1449d)