NGO【エヌジーオー】

 NGOという言葉は,non-governmental organization(非政府機関)の略で,主として2つの用法で使われてきた。第1は,国連と公的な関係をもつ政府以外の団体を指すという用法である。この意味をよりはっきりと示すため,〈国連NGO〉という言い方をすることもある。国際的な団体の意見を国連の活動に反映するため設けられていた制度の中で使われていた言葉なので,国際的な利益団体(経営者組織,業界団体)も国連NGOの中には含められている。現在では国連の会議には,国内の団体も含めたより広い団体が参加できる場合もあり,以前と比較して国連NGOの意義は多少減りつつある。第2は,広く公共性のある活動に自発的にかかわる団体をすべてNGOと呼ぶ用法である。最近の新聞などでNGOという言葉が使われる場合は,おおむねこのような用法である。国際的な活動にかかわる市民団体がこのように呼ばれることが多い。なお非営利組織(non-profit organization:*NPO)が〈金もうけをしない〉という点に注目する呼び名であるのに対して,NGOは〈政府ではない〉という点に注目する呼び名であり,必ずしも異なるものを指すわけではない。

 国際的に活動する人権NGOの中には,国際社会で大きな影響力をもっている団体が少なくない。なかでも*アムネスティ・インターナショナル(本部・ロンドン),*国際法律家委員会(本部・ジュネーブ)などは,国連の人権委員会などでも一目おかれており,国際人権条約の起草過程にも公式・非公式に深くかかわってきた。国際人権NGOなくして人権条約の発展はなかったといえる。

 上記のNGOは,専門家や市民を代表する団体で,たしかに大きな役割を果たしてきたが,直接当事者を代表するわけではないという欠点もある。だが最近では,民衆を直接代表する組織が国際的な場でも活躍しはじめている。先住民族の諸組織は,IPO(先住民族組織)【せんじゅうみんぞくそしき】という呼称を使い,NGOと自分たちを区別している。これらIPOは,国連における先住民族権利宣言起草作業に積極的に参加し,大きな影響を与えている。部落解放同盟などの呼びかけで生み出された*反差別国際運動【はんさべつこくさいうんどう】も,専門家と当事者を含むユニークな国際人権団体ということができる。これらは,これまでの国際人権NGOと異なり,より直接的に当事者の視点を代表するという役割を果たすことが期待されている。

*NPO

参考文献

  • 斎藤千宏・馬橋憲男編著『ハンドブックNGO』(明石書店,1998)
  • 馬橋憲男『国連とNGO』(有信堂,1999)
  • アジア・太平洋人権情報センター『アジア・太平洋人権レビュー1998』(現代人文社,1998)
(川村暁雄)

トップ   差分 リロード   一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2015-12-03 (木) 21:09:28 (1358d)