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行財政部会・学習会報告
1998年6月26日
まちづくりと条例

(報告)井上繁(日本経済新聞社説論説委員)

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 主に「まちづくり条例の機能と役割」と「これからのまちづくり」について報告していただいた。報告の要旨は以下の通りである。

 まちづくり条例の機能と役割は、自治体内部関係、外部関係の大きく2つに分けて考えることができる。

 内部関係では、さらに、自治体との関係、住民との関係の2つに分類することができる。自治体との関係における条例の機能と役割としては、5点挙げられる。第1に、地域振興の手段である。たとえば福寿草保護条例がその例である。第2に、固有な行政指導の根拠である。第3に、行政の指針である。たとえば福祉のまちづくり条例がその例である。第4に、自治体行政の拘束である。たとえば、航空機公害防止条例があるが、これは、市長が航空機公害の状況を常時監視することを義務づけている。第5に、行政の継続性の維持である。


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 住民との関係における条例の機能と役割としては、3点挙げられる。第1に、住民自らの要求を実現することができる。これは、有権者の50分の1以上の署名を集めれば、条例の制定や改正、廃止を直接請求できるということである。第2に、住民の権利、義務を明示する。たとえば、ポイ捨て禁止条例がその例である。第3に、住民を啓発、先導する。たとえば、長寿者介護慰労金条例があるが、これは高齢者と同居の介護者に慰労金を贈るというものであるが、それと同時にお年寄りを大切にしようという啓発、先導でもある。人権条例についても、この意味合いが強い。

 続いて自治体外部関係における条例の機能と役割としては、第1に、先取り行政として国を動かし、法に反映することができる。第2に、国へのアピール効果がある。第3に、他の自治体の政策を誘導する。第4に、地域外へのアピール効果がある。


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 次にこれからのまちづくりについては、(1)環境問題、(2)福祉の問題、(3)市民とのパートナーシップ、の3つがキーワードである。

 環境問題への自治体のとりくみが活発なところとしては、ドイツのフライブルク市が挙げられる。ここでは、大気汚染、騒音を緩和するために、赤信号の時は信号機の下に「エンジンを切れ」というマークが出たり、マイカーではなく公共輸送機関の利用を促進するために、市内全線乗り放題で購入者本人以外でも使える定期券を、安価で発売している。 また福祉の分野では、障害者、老人を念頭においたバリアフリー(障壁をなくす)という考え方が、近年ではユニバーサルデザインという、当たり前のこととしてまちのなかを誰もが住みよいようにデザインしていくという考え方に変わってきた。

 そして、パートナーシップ型のまちづくりを進めていくには、(1)市民と行政は対等であるという住民の自覚、(2)行政側の情報提供体制の完備、(3)市民と行政の明確な役割分担、の3つのことが前提となるということが報告された。

(豊岡慈子)